ガラガラの投票所

「投票所、ガラガラだったな。ガラガランダな」
「・・・ん？」
「さっきネットで並んだ並んだな投票所がある、って見たけどそれとは全然違ったな」
「・・・あ？」
「で？あんたは行ったの？投票所」
「・・・お？」
「あ、そうか、何でそんな怪訝そうな、毛羽毛現みたいな顔してるかと思ったけど、アレでしょ？『え？この我々が投票？』ってコトでしょ？」
「おお、そうだよ。だっておめえ、月最終日だけココに登場する俺たちにゃあ、名前すらないんだぜ。おまけに俺だったかおめえだったか、あるいは両方だったかも知んねえけど、定形がなくって、紙みてえに薄くなったり出来るってえ件りが確かあったろ？」
「ああ、あったかもね、過去にはそんなのも」
「つまり俺たち人間じゃねえ、ってコトだよな？」
「そうだよ。だからどうしたのさ？」
「いやいや、そんな得体の知れねえ存在に参政権があるほど、この国は寛容だったか？って話だよ」
「そんなわけないよ。この国もどの国も、僕らに参政権なんてあるわけないじゃん。そんなの寛容もへったくれもありゃしないよ」
「んじゃ、何でおめえは投票に行ったんだよ？」
「え？勿論投票はしてないよ。投票所に行っただけだよ」
「あ、うめえコトごまかしやがった」
「さてさて、どうなることやら・・・」