神宮スズメの独り言2021春〜69〜君が代より校歌を

ボクは大正大学の斎藤投手が好きだ。打たれても動じない精神力、独特のリズム感・・・

東都のガイドブックによると身長163センチ体重80キロとある。球速は130キロ中盤。初めて見たのは２部の専修戦だった。打たれはしたがそのふてぶてしいマウンドさばきにボクは目を奪われた。そして入替戦の第２節で２部5位の農大を相手に５安打完封したが、第１節で３部の学習院に敗れていたため３校１勝１敗の三つ巴となって今日の試合を迎えた。

農大は入替戦の大正戦と同じ稲垣君が先発。エース対決となった。

先攻の農大は初回にあっさり２死。しかし中村君の安打の後、主将の小亀君はライトスタンドに運んだ。だが、斎藤君はこんなことでコントロールを乱したりはしない。冷静に後続を内野フライにとった。

２回の農大は１死から石橋君がレフト戦ぎりぎりに落ちる２塁打。その後の伴野君の打球は斎藤君の脚を直撃する。その時の彼の対応をボクは忘れない。１塁側に転がったその打球を追った斎藤君は１塁手にベースにつくように指示してスライディングキャッチ。だが、１塁カバーは間に合わない。すると彼は３塁への送球態勢をとった。もちろんオールセーフだ。だが、彼のこの姿勢が4年生エースとしてチームの信頼を得ているのだと思った。

その後すぐ彼は投球に対して問題なしとアピールした。２塁塁審は丸印を出した。だが、そんな無責任な２塁塁審などは信用ならない。大正の大内監督はすぐにマウンドに駆け付けた。もちろん斎藤君がこれくらいの負傷であっさりマウンドを降りるはずがないことなどは分かってはいたが・・・・

しかし斎藤君は馬場君と西表君に連打を浴びて１点を追加された。そこでさらに斎藤君は古川君にボール３つを続けた。どんなにピンチを迎えても制球を乱す投手ではない。彼はここで踏ん張ったが犠飛を打たれて４点目を失った。

大正は２回の裏１点を返したが、３回にも２死無走者から３連打でエラーも絡んで２点を失い、５回にも１点を追加されて７−１で敗れた。農大は先発の稲垣豪君は７安打１失点の完投勝利。大正の斎藤君も被安打14、7失点ながら9イニングを完投した。

第99回大会の茨城大会の決勝で敗れた霞ヶ丘のエースだった斎藤君。あと一歩。そうだ、あと一歩だ。

この入替戦もあと一歩で残留を逃した。もし、3部の学習院との初戦で斎藤君が投げずとも勝っていれば・・・・

だが、それが学生野球である。学生野球としてすこし足りなかった大正大学。

斎藤君は毎回1死と取るとベンチ前でキャッチボールを始めていたが、最後の9回裏の攻撃では彼はベンチでファウルボールを拾ったブルペンからの返球を受け取っていた。

そしてその9回の裏には2死から連打と四球で満塁と攻め立てたが・・・・

最後は代打が三振に倒れた。


応援が自粛される中ですぐとなりの国立競技場からは君が代の演奏が何度も流れてきた。五輪のリハーサルだろうか・・・・

日本人として君が代が嫌いなわけではもちろんない。だが農大応援団がたった4人で口三味線で校歌を歌う中、あまりいい気分ではなかった。



2021年6月28日　東都大学野球春季リーグ戦　2部3部入替戦トーナメント1回戦（於　明治神宮野球場）
東京農業
222 010 000 = 7
010 000 000 = 1
大正