今年の東都の入替戦は厳しい。なんといっても昨年の秋には無条件で1部昇格を認めた以上、今年は2校が降格する。それに対して2部優勝の日大はこの2校を撃破しなければならないのだ。
前回の日大の入替戦はいやな思い出がある。相手は中央だった。1勝1敗で迎えた第3戦、逆転を狙う日大は満塁の場面で放ったレフト線への打球がファウルと判定された。
1塁側ベンチの36段目からいつも見ているボクからは明らかにフェア。というよりファウルラインからは内野グランドの人口芝ほどの内側に落ちたライナーだった。あの時の3塁塁審は青山学院の非常勤講師宇佐美明さんだった。もちろん彼は予備校の講師も掛け持つ人で大学講師はバイトみたいな人であり、なおかつ彼のブログにはもう年だからいい加減審判なんてやめようかなと記されていたのだ。
こんなやる気のない人に汚された日大対中央という伝統の一戦。これが1勝1敗での誤審だったのだ。なおかつ当時の日大はアメフト部の不祥事によって応援は自粛。当然、この明らかなる誤審についても日大の監督はベンチを出ることもなかった。
彼らは忘れてはいない。そしてボクもだ・・・・
もちろんアメフト部の不祥事を認めるということではないが、野球部とは別の話だ。こんないいかげんな入替戦から日大は今回再び挑戦権を得た。
だが、昨年秋のコロナ禍において青学の入替戦なしの1部昇格にともない7校で行われた1部リーグの変則開催に伴い、今回の入替戦は1部から2校降格、2部優勝校との3校での争いとなる。
当然1部6位校が優先スケジュールを得る。初戦は2部優勝校の日大対1部6位の東洋。2戦目は日大と1部最下位7位の立正。東洋だけが中1日だ。
日大は当然先発には赤星君を持ってきた。日大鶴ケ丘出身のエースで、優勝を争う専修との最終節でも5安打完封。０−０のまま9回表の代打小濃君のソロ本塁打による1点を守り切って完封勝利を挙げている。
等々力球場でこの試合を見ていたボクには彼の回転の効いたストレートの威力などよりも、最後の勝負強さを感じていた。高校でもプロ志願を出した彼が見せたのは160キロのボールでもなく、切れ味のある変化球でもない。140キロ半ばでもスピンの効いたボール。そしてそれを上回る自信に満ちた投球だった。それが今日も出た。
初回、先攻の東洋はぼてぼての3塁内野安打と2塁への内野安打で無死1・2塁とした。送って2死後、木村君の打球はバットをへし折られた。ボクが見ている内野席の36段目からも折れたバットとともに粉々になった木くずが内野グランドに飛ぶのがわかった。だが、打球はバットよりも飛ばない。フルスイングの打球が3塁前にコロコロを転がれば3塁手はどうしようもない。
この回、東洋は3本の内野安打で1点を入れた。そして2回、東洋はまたしても内野安打攻勢を見せる。橋本吏君が詰まりながらもレフト前に運ぶとバントで2塁に進み内野安打で2死1・3塁とした。そこで1塁走者が盗塁。打者は空振り。だが日大の菅原君は3塁走者を全く気にせず2塁へ送球。ベース上へのストライク送球でアウトをとりチェンジとした。
これに乗った日大は2回の裏、先頭の池田君がエラーで出塁すると続く林君がレフトに流し打ち、これが風に乗って本塁打となった。２−１と日大が逆転した。
試合はこれで決まった。
まるで5月25日に見た等々力での専修戦とそっくりだった。それまで2安打に抑えられた日大は9回の表に代打の小濃君がソロ本塁打を放った。赤星君は8回まで5安打に抑えリードした最終回は1つの四球を出したが無失点で１−０での完封勝利を挙げたのだ。
赤星君は3回以降東洋打線を全く寄せ付けなかった。3回から6回まではパーフェクト。7回には内野安打を許したが、結局は被安打６、無四球。その6本の安打のうち内野安打は5本だった。
いい投球をする投手などいくらでもいる。だが、ここ1番で1点を許されない場面で抑える投手。赤星君の今日のストレートは145キロ前後が精いっぱいだった。だがスピンの効いた投球は魅力十分。明日はおそらく二松學舍の市川君だろうか。
片岡3兄弟のお兄さんが監督、元巨人の青山さんが3塁コーチに立つ日大。馴染みのある木更津総合の峯村君とともに明日の活躍に期待したいところだ。
2021年6月21日 東都大学野球春季リーグ戦 1部2部入替戦第1節（於 明治神宮野球場）
東洋
100 000 000 = 1
020 000 00x = 2
日大
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