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2021年06月21日21:53

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神宮スズメの独り言2021春〜64〜学習院の春

学習院が4部から3部に上がったのを調べてみると2006年の春だった。そして秋にはいきなり3部2位となっている。だが、3部の優勝校はそのほとんどが大正と順天堂が占めてきた。学習院は2014年の秋と2016年の秋に2度の3部優勝を決めているが、このところ2部経験はない。もちろん1889年創部の古豪だ。まだ加盟校が少なかったころでの1部優勝は1回、2部優勝も4度を数えるが・・・・

そんなチームの入れ替え戦は勝負というよりも神宮大会出場記念という意味合いが大きい。一昨年の春に見た3部・4部入れ替え戦に出場した一橋大学にも感じたことだ。当然だが彼らは大学を卒業した後には野球とは縁を切る。だからこそむしろ大学野球の聖地であるこの神宮でプレーできることは、高校球児が甲子園に出るのと同じ価値観がある。その時の一橋大学は応援団がやってきた。一橋にこんな立派な応援団がいたことにも驚いたが、彼らにしても思いは同じだったのだろう。

そして今日の学習院大学。東都5大学で開幕した当時からその名を連ね今でこそ2部下位校として甘んじてはいるが、あの伝統の応援団も健在である東京農業大学が今日の入替戦での相手だ。しかし、学習院も立派な応援団を繰り出してきた。学ラン姿の団長もチアもブラバンもいる。そして農大にはその大きさはかなわないが校旗も堂々と掲げられた。

立派なカメラを構えた保護者らしき人や暑い中でもスーツ姿の大学教授と思しき人々。OBと思われる人たちも球場内で久々の再会を喜び合っている。まるで甲子園に初出場を果たした地方の名門県立高校のようだ。だからこそ彼らは死んでも勝てなどとは思ってもいない。むしろ恥ずかしくない試合で終わってくれというように・・・・

だが、恥ずかしいどころか彼らは堂々と試合した。

農大の先発は鶴田君だった。もちろん忘れはしない。下関国際の鶴田君と言えばかなりコアな高校野球ファンでなくとも頭に残っているはずだ。夏の第99回大会に出場すると翌年は春の90回大会と夏の100回大会に連続出場。赤を主体とした下国のユニフォームの衝撃とともに彼はインパクトを残して甲子園を去った。

いや、ここで修正しよう。ボクが全試合生観戦を敢行した第100回大会。地元千葉の代表校は中央学院と木更津中央だった。中央学院は初戦敗退。木更津中央は3回戦に進んだ。その時対戦したのが下国だった。4番でエースの鶴田君。ずんぐり系のパワーある投手だったが、木総は序盤でミスで失点すると中盤のチャンスをものにできずそのまま敗れた。あの時のエースは3塁手が本業の野尻君。だが先発は2年生の根本君で最後は1年生の篠木君が継投した。鶴田君は完投した。

準々決勝では日大三に敗れたが1回戦からの3試合連続完投勝利は強烈な印象を残した。だが彼が農大に進学していたとは実は知らなかった。

甲子園で経験豊かな投手と学習院。これでだれもがある程度の差がつく試合になるだろうと思っただろう。だが学習院は初回あっさりと三者凡退に倒れるがその裏の農大も四球の走者を出すが盗塁を刺されて結局3人で攻撃を終える。そして2回の表に学習院は4番の亀山君がきれいに打ち返してレフト前安打。バントも決めさらに四球でチャンスを広げるがその後は凡退。

3回表の学習院はまたしても先頭の佐藤君が安打で出塁。だがこれも得点にはつながらない。そしてその裏の農大は学習院の先発櫻井君を攻める。先頭の三浦君の打球は三遊間を襲う強烈な打球だったが、学習院の遊撃手佐藤君がバックハンドのダイビングで見事に捕球。アウトを取るが平戸君が安打で出塁。そして西表君の打球は3塁真正面のゴロ、併殺を意識したのか2塁へ送球の構えを見せたがそもそも間に合うわけがなく、そして1塁への送球もまったりしていた。記録は安打だが、普通なら2死2塁のケース、投手には気の毒はプレーだった。そして次の古川君は3塁ゴロ。今度こそ併殺がとれると思ったが、それを3塁手が悪送球。2塁走者はホームイン、そして打者走者が2塁を進むなかで送球ミスもあって1塁走者も生還した。2−0・・・・

さらに小亀君のタイムリーで農大は3−0とリードした。だが、学習院はその直後の4回表、鶴田君から替わった加部君に対して2死無走者から山下君がレフトに流し打ってそれが風に乗る。そのままフェンスを越えた。風に乗った神宮本塁打だ。3−1・・・

学習院サイドは意気上がった。

そして6回表、学習院は四球を皮切りに2つの内野ゴロで2死3塁。そしてここで再び学習院は本塁打を放った山下君に打席が回る。加部君は先ほど打たれた本塁打を気にしたのだろうか、ワイルドピッチで3塁走者を帰した。3−2・・・

農大が2部死守することと同じくらいのひっ迫感で学習院は2部昇格を本気で考えているだろうか・・・・

それがどうあろうとボクは批判の対象ではない。それは甲子園出場を目標としているチームもあれば甲子園優勝を目標にしているチームもある。だからと言って予選1勝を目指しているチームを誰が批判できよう。おかれた立場はもちろんそれぞれが違う。その立場なりの目標に向かって懸命に努力する選手にどんな違いがあるだろうか。

ボクが高校野球が好きな理由。大学野球が好きな理由はそこだ。一生に一度かもしれない甲子園。ここで優勝候補と戦いすごい試合をした。たとえ負けてもこれ、一生もの・・・・

学習院は関東学院出身の横内君を2番手投手に送った。先発の櫻井君は「悪い、悪い」と言いながら戻ってきた。いやいや全然悪くない。きちんと試合を作ったのだから・・・

そして横内君は気迫ある投球を見せた。3回裏のピンチを乗り切って雄たけびを上げながらベンチの戻ると、その後もアウトを取るたびにその選手に大声をかけて盛り上げた。3−2で試合は進んだが、彼は8回の裏、四球と安打を許し2死2・3塁とされたところで降板した。彼の投球というよりもマウンドでの鼓舞にボクはひかれただけに続投でもよかったかと思ったが、継投した由良君が2つの四球を出して1点を失った。

最終回の9回。学習院は今日本塁打を打っている山下君が安打で出塁。2死となって主将の佐藤君が今日3本目の安打で2死1・2塁とチャンスを作ったがそこまでだった。

学習院はよく頑張った。実際に学習院の自責点は0であり、農大は自責点1だ。実質はエラーの差であった。だが、学習院はそんなことなど考えてはいないだろう。

優勝を義務付けられた野球強豪校と21世紀枠での出場校との違いほどがある。2部の5位校とはいえ、甲子園経験者がいる農大とのこの勝負。何かあるたびに樋越監督がマウンドに行き、相手守備にたいして審判にもの申しながら結局は5人の投手陣を使った農大。

学習院相手にかなり全力体制だった農大。負けてもともとという学習院。胸にGという伝統をあからさまにしたユニフォームが躍動する姿に明日も楽しみにしている。



2021年6月21日 東都大学野球春季リーグ戦 2部3部入替戦 第1節(於 明治神宮野球場)
学習院
000 101 000 = 2
003 000 01x = 4
東農大

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