神宮スズメの独り言2021春〜57〜日本一へ

全日本大学野球選手権もいよいよベスト８が出そろい今日が準々決勝。その第1試合は上武大学対東京農業大学北海道オホーツク。

上武とはめぐりあわせがよく１回戦と２回戦をともに観戦できた。１回戦は西日本工業大学の隅田投手と上武加藤君との息詰まる投手戦。ドラフト候補の隅田君から14もの三振を奪われながらブライト君の本塁打による1点を加藤君が守り切り１−０で素晴らしい勝利を挙げると、昨日の2回戦では桜美林に2点を先制されながらも6回1/3というロングリリーフをした上村君が2安打1四球という素晴らしい投球で結局４−２と逆転勝ちした。

農大オホーツクは2年前の前回大会でベスト４に進出したためシードリーグとなり2回戦からの登場となった。基本的にボクはドームを嫌い学生野球の聖地神宮を主戦場としていたが、その日はどうしても東北福祉大を見たくてドームに行ったため農大オホーツクを見るのは今年は初めてだ。

実はボクはこのチームが大好きである。もちろん北海道の有力選手が集まることもあるが、東京をはじめ全国から選手が集まってくるチームだ。かつては帝京から日本ハムに進んだ杉谷拳士とともに甲子園で兄弟本塁打を放ったお兄ちゃんや国士舘のエースでセンバツにも出た菅谷玲央投手も所属していた。東京の魅力ある選手がいたことと全国選手権や明治神宮大会に出てくると東京農大の応援団が駆け付けることも魅力の一つだった。あの荘厳な校歌は東都2部に低迷する本校の出場機会では入れ替え戦以外では聞くチャンスがない。

しかし、今年の応援はもちろん禁止。だが映像で東京農大応援団による校歌が流れた。久しぶりの農大校歌に感無量になった。

試合は序盤から大荒れになった。上武の先発はリーグ戦でももっとも投球イニングが多い東海大相模出身の2年生紫藤君。彼は1回戦2回戦ともに登板がなく実質的なエースがどうしたのだろうと思っていたがここで満を持して登場した。なんといっても2019年の夏の甲子園で東海大相模の背番号1を背負った投手だ。だが、農大オホーツクの先頭にいきなり死球で出塁を許すと送りバントの後3連打で2点を失った。なおも1死2・3塁。しかしここで後続を断ったのがキャリアの表れだったのだろうか。

その裏の上武も得点を入れる。農大オホーツクの先発石沢君はいきなり連続四球。鋭い牽制球で2塁走者を刺すが、今日は3番に座ったブライト君がジャストミートした打球は3塁手のグラブの上をライナーで超えると一気にフェンスまで到達する2塁打。1塁走者がかえりなおもワイルドピッチと四球で1・3塁。ここで芳賀君の2塁打で同点。農大オホーツクは投手を林君に替えるが藤原君の内野安打で逆転した。

上武の紫藤君は2回表を三者凡退に退け、その裏の上武は四球で出た走者を2人置いて進藤君が2塁打で2点を追加した。3回には農大オホーツクの4番古間木君のソロ本塁打で1点を返すが、その裏の上武は門叶君の本塁打でお返しした。

そして4回にはブライト君の本塁打で追加点を挙げる。5回6回にも追加点を挙げた上武は7回を終わって１１−３としてコールド勝ちを収めた。農大オホーツクは得点を挙げた1回と3回以外は安打を放てず結局7イニングで4安打、3得点に抑えられた。悪いながらも最低限の仕事をする紫藤君の経験値が勢いでリズムをつかもうとするチームに勝ったのかもしれない。


1回戦では4番では3打数1安打で本塁打１の打点１。2回戦では1番を打ち4打数3安打で1打点。今日の準々決勝では3番打者を任され2打数2安打、本塁打１の2打点。ここまで9打数6安打で2本塁打、打点４だ。１番に抜擢されれば3安打でチャンスメイク。3番4番に座れば堂々の2本塁打でポイントゲッター。

観客が少なく応援も禁止のこの大会に置いては彼の声もよく聞こえる。

「さあ、この回が重要だよ、決めていこう」

完ぺきなネイティブジャパニーズだ。彼の声だけを聴けば間違いなく日本人だと思うだろう。それでも守備に就くときに全力で走る彼のストライドは大きく、そのスピードを感じさせる。しかも彼は都立葛飾野高校という野球強豪校の出身ではない。

彼の魅力に取りつかれた人は多いはずだ。もちろんボクもそうなのだが、ネット裏に陣取るスカウトに皆さんはどうなのだろうか・・・・

サニブラウンに勝った男として昨年ドラフトにかかった中央の五十畑選手。それに対抗するべくこのブライト君の今季の活躍と秋のドラフト指名に期待したいところだ。

そしてこの大会においても上武というチームは有力候補に躍り出た。



2021年6月10日　第70回全日本大学野球選手権　準々決勝（於　明治神宮野球場）
東京農業大北海道オホーツク
201 000 0 = 3
321 122 x = 11
上武大