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2021年04月25日12:41

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たい焼きと少女 1

冬、この街にも雪の季節がやってきた。
この高校の歴史は古く、創立は旧制中学からの伝統をもつ。
俺はサッカーの授業中にクロスプレイで足を傷めてしまった。
軽い捻挫であろうが取りあえず体育教師の指示で保健室に向かう。
うん?
先客がいる。
ショートカットで背の低い女子生徒であったが制服の上からポンチョを着ていた。
「おお、ワトソン君、君もここの住人かい?」
何故、ワトソン君なのだ?この女子はホームズにでもなった気分でいるのか?
「イヤ、俺はワトソンではないし……」
「そんなことは問題無い、ボクがワトソン君と決めたからにはワトソン君になってもらうよ」
これは学校内で事件が起きてそれを解決するのか……?
……。
沈黙の後でポンチョの女子が話を始める。
「安心したまえ、ワトソン君、この学園で事件など起きたことがない」
おい、事件の無いのにワトソン君なのか?
「あらあら、みゆきさん、お友達ができたの?」
保険の先生が声をかけてくる。
「はい、紹介します、ワトソン君です」
違う!
「俺は『駒越 真治』だ」
「はい、はい、ワトソン君、位置エネルギーと運動エネルギーの関係をご存知かな?」
あ〜振り子などに例えられる物理の話だ。
「ボクが位置エネルギーならワトソン君は運動エネルギーだ」
ややこしい例えだが関係が深いとのことである。

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