ルカさんはバスケ部の練習に立ち合い。
声を上げていた。
キャプテンとして復帰も間近であった。
わたしはマネージャーとして遠くから見守るだけである。
あの熱いキスも嘘のようである。
完結したカミガリの物語を渡すと無言で原稿が帰ってきた。
消えてしまった翼乙女の代償であるかのごとくであった。
人生は選択肢の連続で間違えることがある。
わたしは間違えたのかもしれない。
でも……禁断の愛に悲しい別れは付き物だ。
そう自分に言い聞かせていると今日の部活が終わる。
ルカさんが一人になる瞬間を狙って微修正した原稿を渡す。
「短編賞に応募しようと思うの、ルカさんの意見を聞かせて」
「あぁ、僕で良ければ力になるよ」
しかし、その声はかつてのルカさんではなかった。
このまま、ナイフで刺して、また、病院送りにしたい気分であった。
ふ〜、ヤンデレの妄想から我に返り、ルカさんに抱きついて良いか聞く。
「ここでは目立つ、校舎裏まで行こう」
校舎裏の林に行くと。
わたしは後ろから抱きつく。
「ルカさんはルカさんでいて……」
「そうか……僕は入院中と違うのか……」
わたしは無言で頷く。
「なら、変わるのは、お互いにしよう」
ルカさんは静かにわたしに提案してくる。
わたしが変わる?
「アリシアの様にきらめく存在になることだよ」
それは可能性の問題であった。
凛ときらめく女剣士の心構えである。
……わたしは……。
それは不可能でない可能性である。
ルカさんとわたしの物語は始まったばかりだ。
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