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2021年04月21日14:56

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砂粒のような恋心 11


家に帰ると日課であるカミガリの話を考える。
神々が自然のエネルギーを使い人々から生気を奪うのを止めさせる話をつめていた。
アリシアの様に呪われた力でカミガリをしている者はいずれ死が待っている。
民と神々の争いはそんなに簡単に決着はつかないのであった。
しかし、神々の長になるべき翼乙女が命を張って止めれば争いがやむかもしれない。
そう、呪われたアリシアを助けるのだ。
「アリシア、生きたいか?」
翼乙女の問いにアリシアは首を横に振る。
「死など怖くはない。孤児院で育ち、死を背負うことで居場所を得た。この暗黒剣は神々を狩る為の道具だ」
沈黙する翼乙女にアリシアは剣を突きつける。
その瞳は泣いており、アリシアは翼乙女を愛していた。
翼乙女は突き付けられた暗黒剣に手を触れる。
暗黒剣は火傷のように翼乙女の手を侵食する。
その瞬間に翼乙女の体は砂のように崩れ落ちる。
「何故だ!!!」
アリシアの叫び声が響き。暗黒剣も融け落ちる。
「すべてのカミガリに平穏を……」
何処か翼乙女の声が聞こえる。
神々は長になるべき翼乙女を失い、民はカミガリの力を失ったのである。
それは争いの終わりを意味していた。
アリシアはトボトボと大樹の木の下から街に戻ると。
孤児院の仲間が迎えてくれた。
暗黒剣を失い。やっと、孤児院の子供達と触れ合える。
アリシアの長い旅が終わったのである。
……。
これでカミガリの物語は終わりだ。
ルカさんはリハビリを続けていて、もうすぐ退院であった。

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