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2021年04月07日14:49

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砂の恋 メモ 6

温かい……。
触れ合う手のひらはわたしの心を奪った。
美しき神は翼乙女と名乗り、更に物理的距離が縮まった。
わたしは孤児院で育ち、本当の名前も知らないのである。
愛称はアリシアでそう呼ばれていた。
……。
「どう?カミガリと神の恋愛小説にしたのだけど」
ルカさんは渋い顔をしていた。
「確かに禁断の恋であるね。しかし、大衆向けではないよ」
わたしがルカさんの言葉でしょげていると。
「大丈夫、個性が出ていて面白くなるよ」
優しいな……こんな小説でも誉めてくれた。
「うん、もっと頑張ってみるわ」
気がつくと、面会時間が終わりそうであった。
原稿を返してもらうと病室を後にする。
病院のロータリーでバスを待つ間も小説の続きを考える。
結果が出なければルカさんに会う理由がない。
他の神々をもっと残酷にしてみるか迷う。
わたしは宗教とかは分からない。冒涜と呼ばれたらどうしようか……。

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