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2021年02月07日03:52

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久々に満足感のある、ひねりの効いた娯楽映画でした。ハンス・ペテル・モランド監督「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」(2014)。

この題名を見たら、まず普通なら手を出しませんよね。それが正解です。「ホワイト・ボイス」なんていう意味深な題名につ釣られて2時間近くを無駄にした僕は、しかしこの「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」によって、今後はまたぞろ“30分ルール”を無視してしまうことでしょう。かまへん、かまへん、こういう娯楽に出遭えたら、残り少ない僕の人生の2時間を犠牲にしてもええねん。

ノルウェー映画です。主人公は除雪作業員のニルス・ディックマン(ステラン・スカルスゴールト)。彼の息子が死体で発見され、薬物の過剰摂取だと言われます。母親は、全く覚えはないけれど自分に落ち度があったのではないかとふさぎ込む。しかしニルスは信じず、誰かの陰謀で殺されたと復讐に乗り出す、という展開。

目ざといアクション映画ファンなら、リーアム・ニーソン主演の「スノー・ロワイヤル」(2019)を思い起こされるでしょう。僕は全く知らなかったのですが、「スノー・ロワイヤル」はこの「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」のアメリカ版リメイクだそうで、監督も同じでした。でもimdbの点数が、こちらの7.0に対して6.2と低いから、僕はパスかも。

とにかくこの“ダディ”、名字がディックマンです。ヒッチコックがショーン・コネリーを評した言葉を思い出しますね。もっとも、ステラン・サバラン、じゃなかったスカルスゲールト主演だったら、コネリーの007のようにはなりません。他に知った顔が出てくるのは後半にじっさまがひとりいるのですが、それがブルーノ・ガンツだとは気づきませんでした。写真3はオフ・ショットですな。

とにかく、ノルウェーの雪景色がすばらしい。これをスクリーンで見たら感激してしまうでしょうね。そして語り口が静かで、余計な部分はすっとばして復讐劇だけが展開します。いや、実は双方の家族問題をうまく絡ませてくれるから、そのあたりが楽しいのです。ギャングのボスが離婚問題に直面していたり、ニルスの妻が夫に当たったりね。

そしてラストの一大銃撃戦は、言うなれば“ギャング映画版の「ワイルド・バンチ」”です。これをスクリーンで発見していたら、僕は狂喜乱舞していたでしょう。7年も前の作品を今頃褒めてたんじゃ、お前の目は節穴だと言われても仕方ありません。だからこの監督の「特捜部Q Pからのメッセージ」も見ようかな。見限ったはずのTVシリーズだけど。

とにかく、次々と殺人が起こるのですが、そしてそれを十字マーク(写真2参照)のテロップと共に何度も繰り返すのですが、そのジョーク感覚がうれしい。とことん抑えに抑えたタッチで、実にクールに物語ってくれます。年末に見ていたらベストテン入りしていたでしょう。あと11か月、この面白さを覚えているだろうか?←ぜひ人形町の研究会でみんなに見せたいな。あの仲間たちだったら、見終わった後の賛辞の嵐を想像するだけでも楽しい。

ステラン・スカルスゴールトという俳優さんを知らない? あんた「グッド・ウィル・ハンティング」の数学教授ですがな。ブルーノ・ガンツも知らん? 「ベルリン天使の詩」が日比谷シャンテで1年近く続映した話も、もはや伝説か。そんな事実は知らんでもええ。すぐにこの映画をレンタルでも配信でもええから見なはれ。

この作品を見て“オモロない”と感じた方は残念ですが、お申し出くださいね。SNSでの友達関係を考え直させていただきたいと思うもので。そういう方とは、サイナラ、サイナラ、サイナラ、かもね。
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