さて、総合学習の時間である。
進学組は集中講義を行う。
わたしはバカなので、選択はお菓子作りにした。
実習室でお菓子を作り始める。
「甘い香りがするな、何を作っているのだ?」
ぬいぐるみのアリシアはトローンした顔で尋ねてくる。
貧乏令嬢には関係無いモノらしい。
「星形クッキーだよ」
くくく、完成したらアリシアが欲しがるに違いない。
ワサビ入りのクッキーを混ぜておこう。
くくく……。
うん?急にお腹がゴロゴロする。
少し席を外すと。
あれ?ワサビ入りのクッキーはどれだっけ?
クッキーを焼く頃には混ざってしまった。
……。
美味しそうに焼きあがると。
わたしは固まっていた。
「おぉ、これがクッキーなるモノか。当然、食べさせてくれるよな」
アリシアの言葉に適当な個数を渡す。
ボリボリと食べ始めるアリシアは嬉しそうである。
わたしも一つ……。
ツーん、ワサビ入りだ。
一つ目にして当たりなのか、当たりなのか。
そして二つ目……。
ツーん。
もう、嫌だ!
「アリシア、全部あげるよ」
確かワサビ入りは三つのはず。このまますべてあげてしまえば……。
「誰だ、わたしのクッキーにワサビを入れたのは?」
うん?家庭科教師のおばちゃんが怒っている。
「犯人は停学処分だ!」
ヤバイ、バレたら死亡コースだ。
しかし、他にワサビ入りのクッキーが見つからない為にグダグダで終わった。
ふう、命拾いした。
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