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2020年09月25日12:55

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ようこそ、体育教官室に! 7

わたしの受け持つ1年の女子の授業終わりのことである。
授業中に生徒に腕立て伏せを指導したら、先ずお手本をと言われて一回も出来なくて撃沈であった。
あの、数十人からの白い視線は、思い出しても辛い記憶である。
体育教官室に戻ると三島先生に相談するか迷っていたら。
「あ、実星くん、授業で辛いことが有ったのだって」
別に興味の無い先生に話しかけられる。
「は、はい……」
「体育教師は他の分野がサッパリな人も多いから、大丈夫だよ」
それは理解できたがわたしに向けられた白い視線は消せない記憶である。
要は腕立て伏せの一つも出来なかった事である。
そもそも、何故わたしが体育教師になっているのだ?
詳しい理由を聞くと『年頃の女子は扱い難いので同年代なら』と返ってきた。
あー今の時代は目線だけでもセクハラになるらしい。
特に一年は環境に慣れていないから、更に難しいようだ。
しかし、それでもわたしの負担が大きい。
扱いは外部講師で正規の体育教師の補佐である。
ちなみにナタリーも同じ扱いである。
勿論、給料は全然違う。
ふ〜う、愚痴を言っても仕方がない。
帰り支度をしていると、三島先生が現れる。
キュン……!
あーイカン完全に恋だ。
叶わぬ想いも辛いものだ。
試しに……。
「三島先生、一緒に帰ろうか?」
「ゴメン、残業があるのだよ」
残業か、大人の答えだ。少し、様子を見ていると本当に残業があるらしい。
わたしは渋々、自宅に帰るのであった。

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