［付記あり］「荻上チキ　セッション２２」

入院中、消灯は２２時。それ以降はテレビも見られず本も読めない。
もっとも僕はこのところ早寝早起きの習慣がついているので、２２時と言えばもう眠っている時間なのだが、１日３回の点滴の３回目が２２時なので、どうしてもそこで起こされることになる。さて、眠りに入るまでの徒然に携帯ラジオでも（もちろんイヤホンで）聴くか、ということになって、ほぼ毎晩（ただし平日のみ）聴いていたのが、ＴＢＳラジオの「荻上チキ　セッション２２」（＊）というニュース番組だ。

実は今年の２月から３月にかけて直腸がんの切除とストーマの設置の手術のために入院していた時に、この番組を“発見”したのだった。

今、ラジオで放送されているニュース番組の中で最も上質の部類に属するものなのではないかと思う。自民党総裁選に関する記者会見や国会の閉会中審査などを紹介する時も、いくつかの録音の断片をつなぎあわせるのではなく、一定の時間の録音をそのまま流し、それについて荻上さんが鋭く切り込む評を述べる。特集テーマも先鋭で、登場する論者もしっかりと批評を述べる。まことに硬派の良質な番組だ。同じ時間帯に放送されているＮＨＫラジオ第１の「ＮＨＫジャーナル」というヘタレ番組と聞き比べてみればよくわかる。

７年ほど前に『社会運動の戸惑い』という本を紹介したことがあったが（＊＊）、荻上さんはその本の著者の一人だった。（しかしあの頃は一冊の本についてずいぶんリチギに紹介していたんだなあ…。最近そういうパワーが落ちてしまった。直近でこの手の記事を書いたのは、マルクス・ガブリエルの『新実存主義』についてだっただろうか。）

ＴＢＳラジオは、このところ、平日夕方に放送していた荒川強啓さんの「デイキャッチ」を終了させ、土曜日の午後１時から放送していた「久米宏・ラジオなんですけど」も終了させてしまった。どちらも硬派の良き番組だったが、商業放送局としてはあまりに硬派のコンテンツが並ぶのは営業上まずい、というような思惑が暗に働いたのではないか。あるいは政権からの何らかの圧力が密かにあったのかも知れない。ＴＢＳラジオの内部では、経営と編集の間で目に見えぬバトルが展開されているのかも知れない。

「デイキャッチ」も「久米宏・ラジオなんですけど」も、後継番組はおよそ聴こうという気にならないもので、僕は平日の夕方にラジオを聴くという習慣、土曜日の午後にラジオを聴くという習慣を失ってしまった。

ＴＢＳラジオさん、「荻上チキ　セッション２２」は最後の砦です。この番組だけは絶対に終了させないでください。

［付記］この番組は９月２８日より夕方の時間帯に移るそうだ。
　　　　https://www.tbsradio.jp/514700
　　　　う〜む、これは吉兆なのか、それとも…？

（＊）https://www.tbsradio.jp/ss954/

（＊＊）『社会運動の戸惑い』を読む（その１）
　　　　https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1907626318&owner_id=20556102
　　　　同上（その２）
　　　　https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1907888934&owner_id=20556102
　　　　同上（その３）
　　　　https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1907918484&owner_id=20556102
　　　　同上（その４）
　　　　https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1908080252&owner_id=20556102
　　　　同上（その５＝ＬＡＳＴ）
　　　　https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1908213285&owner_id=20556102


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