わたしは迷っていた。
イヤ、正確には諦めている。
今更、本当のつぐみに会ってどうなる。
ヒューマノイドに貰った住所のメモを破り捨てる。
これで清々した……。
ががが!破っちゃった!
一時の感情に任せていた事を後悔するのであった。
これは破滅エンドの可能性である。
わたしがメモの修復を試行錯誤しながら試していると。
『ピンポン、ピンポン、ピンポン……』
うるさいな、大事な作業中なのに。
わたしは玄関に行くと『宅配なら頼んでいないわよ』と言ってドアを開ける。
前にいたのは少女である。
「え、ぇ、わたし……」
脅えている少女はつぐみであった。
「つぐみか?」
「はい」
どうやら、ヒューマノイドはつぐみにもわたしの住所を教えていたらしい。
自室につぐみを連れてくるが口数は少ない。
高校生のつぐみはヒューマノイドのAIを使って話していたらしく。
コミュニケーションに難儀するのであった。
ひきこもりの少女だもんな……。
「わ、わたし……達……友達だよね」
先ず、つぐみのコミ障害を理解しなければならない。
ふ、コミ障害はわたしもだ。
「そうだ!わたし達は親友だ」
まさに文句があるかだ。
つぐみは携帯を取り出して、何か言いたげである。
本当のつぐみの携帯とメッセージアプリの交換か。
中学生のつぐみと友達か……。
寂しい中学時代を考えればこれは好機である。
友達に垣根などいらない。
そう……。
わたしの人生は予想以上に楽しいらしい。
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