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2020年09月08日15:06

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神様もう少しだけ 9

今日の体育は短距離の授業である。
第二グランドで走りこみをするのであった。
つぐみは端で見学である。
女子の日かと言われたら違うらしい。
選択がどうのこうの言っている。
『わたしのヘルプを求められることは気持ちいいかも……?』
意味不明の答えであった。まるで今まで独りで生きてきて頼りになる友人か確かめられている感じである。
つぐみとの関係は確かに特別であるが、親が転勤族の家庭で育ったわたしも首を傾げるのであった。
「わたしも走りこみをするわ」
つぐみはあきらかに無理をしている感じである。
体育の先生はスタートラインに立っているつぐみを止める。
先ほどのつぐみの態度を思いたすと故意に体育の授業をサボっているニュアンスであったが走れないのも本当である。
わたしは走りこみを続けて一段落したらつぐみの隣に座る。
「ゴメン、訳ありなの」
泣きそうなつぐみはアルマジロの様に丸くなって座っている。
わたしの選択はつぐみと一緒にいたいであった。
それ以上のことを求めるのは止めにした。
曇り空は明るくなり、日差しが出てきた。
季節は夏に向かう真っ最中であった。
わたしとつぐみはグランドの校舎前にある水道の蛇口まで移動してきた。
ジャブジャブ顔を洗うとつぐみはタオルを差し出してくる。
やっと、つぐみに笑顔が戻った。
単純な日常の繰り返しもいいなと思うのであった。

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