mixiユーザー(id:52355057)

2020年09月01日14:48

65 view

神様もう少しだけ 2

父親が転職するらしい。
今まで、散々転勤を繰り返してきたのにだ。
大してこの街が気に入ったとも思えないがしばらくは居るらしい。
わたしが今の高校を卒業するまである。
今更、親らしい事を言い出しても不満が溜まるのであった。
とにかく登校だ。
朝ご飯もそこそこに自転車で高校に向かう。
三十分ほどで高校に着くと駐輪場の出口でつぐみが待っている。
「撫子さんの友達になれたらな……」
わたしが睨み付けると、オドオドし始めて立ち去るのであった。
なにが友達だ、わたしは独りで生きていける。
昇降口で再びつぐみが現れて、油断した瞬間に首筋を『ふ〜』っと、つぐみの息がかかる。
「わたしを友達にしないと毎日『ふ〜』をするよ」
軽い脅迫だがその根性を気に入り友達になる事にした。
考えると安易な理由だ。
友達が自然にできて、または、消滅する。
当たり前のことがわたしは出来ないでいた。
それは初めての友達であった。
先ずはなにをすればいいのだ?
つぐみは携帯を取り出す。
そうか……メッセージアプリの登録か……。
操作を教わり何とか交換できた。
つぐみは嬉しそうに教室まで走って行く。
やれやれだ。
でも、この気持ちは何であろう?
初めての脳内物質が出ている感触であった。

4 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する