新学期が始まり。三日目のことである。
朝、登校すると、さおりんの席が空いていた。
携帯でメッセージを送ると『ゴメン』とだけ返ってきた。
さおりんの居ない生活は厳しいものであった。
それは学校の窓ガラスを割って歩きたい気分である。
深く自制して授業を終えて家に帰るのであった。
家に着くとさおりんの携帯に電話をかける。
『電波の届かない場所か……』
お決まりのメッセージが流れる。
それはさおりんの消滅であった。
そう言えばさおりんの細かい家の場所を知らない。
わたしは気休めに携帯ゲームをする。
本当に気休めで終わった。
もう一度、携帯に電話をかけてみる事にした。
『……電源が入っていません』
結局、最後までメッセージを聞いて電話を切る。
わたしは図書館に向かいさおりんの手がかりを探す事にした。
さおりんがいつも座っている席はおっさんが本を読んでいる。
コンビニのカウンターか?
そのまま、コンビニに向かう。
臨時休業!
田舎のコンビニなので時々あるが今日は臨時休業らしい。
わたしは自動ドアの奥にあるカウンターをみるが誰もいない。
トボトボと肩を落として帰路に着く。
自室に着くと一枚だけ撮ったさおりんの画像をみる。
横から振り返るアングルだ。
『また、失うよ』
さおりんの画像を見ていると。
そんな言葉がよぎる。
わたしは住所だけ知っている、さおりんのもとに手紙を書くことにした。
内容は残暑見舞いであった。
生きていることさえ確認できれば問題ない。
祈る気持ちでハガキをポストに入れるのであった。
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