出ぬ答え

「う〜ん、やっぱし出ないなあ」
「ん？何だ？何が出ないって？」
「こたえだよ、答え。なかなか答えが出ないんだよ」
「ふ〜ん、そりゃまただいぶん難しい問題みてえだな」
「そうなんだよね、実に難しい。今年は結構このコトについて考えたんだけど、いまだにコレってのがないんだよね」
「で？何なんだよ？その問題ってのは？」
「ああ、つまりその、ニンゲンが地球に現われた理由、なんだけどさ」
「ん・・・？」
「だってそうだろ？地球にとってニンゲンは、現状癌細胞みたいなモンじゃんか」
「あ、ま、まあそれはそうかもしんねえな」
「そんな自らの生命を脅かすような代物を、わざわざ自分で生み出すなんてさ、どうしても納得いかないんだよね」
「・・・いや、そりゃ違うかも知んねえぞ」
「え？どゆこと？」
「いや、だからつまりわざわざ自分で、じゃなく、まったく期せずして生まれたってコトだよ」
「つまり偶然で？」
「そう偶然。海水あたりの中から生命が生まれ、さまざまな進化を遂げて現在に至るすべてが偶然だったってコトだよ」
「そうか、そこに地球の意志はない、ってコトか。そうなると考えること自体無意味になってくるね」
「まあそういうことになるな」
「・・・う〜ん、でもまだ考えたいなあ」
「そうか、そんならまあいいけど、そもそも地球が一個の有機生命体かどうか、は解釈次第なんじゃねえの？」
「そうだよねえ。何だかまたコトがひとつ複雑になった気もするなあ」
「割り切っちまえば単純だけどな」
「・・・う〜ん、年が変わってもこのコトを考え続けるのかどうか、まあそれはそれで面白いや」
「そうか。それで面白いならいいな」
「うん、いいよ。やっぱ面白いのがいい」