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2019年12月08日04:31

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キツい内容の映画が題材でも、やはり英語の授業は楽しい。ジョージ・ティルマン・Jr監督「ヘイト・ユー・ギブ」(2018)再見。

なにしろ原題が「The Hate U Give」ですから、俗語などを教えてもらうのにちょうどいいだろうと、英会話のテキストとして取り上げました。まず、カーターさんちの3人の子供の名前に着目。主人公の少女がStarrで、異母兄がSeven、弟がSekaniでした。Starは星という名詞ですがStarrとRが重なると“輝く”という動詞になるそうです。

sevenは7ですが、ラッキー・セブンでもあります。このラッキー・セブンは、野球用語だと思っていましたが、そこから派生して一般的に使われているようです。だから“幸運”を意味して名付けたとのこと。野球では、終盤に差し掛かった7回というイニングには、まだ最強のクローザーが使えず二番手か三番手の投手が出てくることから、弱みにつけ込んで攻撃陣が張り切る、という意味です。

そして末弟の名前がセカニSekaniでした。これはアメリカ先住民に同じ名前の種族がいるそうで、劇中では“joy(歓び)”の意味だと語っています(たぶん先住民の言葉でしょう)。父親のマーベリック・カーター(ラッセル・ホーンズビー)が、それぞれの子供に“こうあってほしい”という意味の名前をつけた、ということです。

劇中、カーター家の子供たちは、白人居住区にある私立高校に通っている設定です。スター(アマンドラ・ステンバーグ)には、彼氏として白人のクリス(K・I・アパ)がいる。クリスは黒人音楽を聴きながら黒人の踊りを真似たりします。これに対してスターが、“白人が黒人を真似るのはクールだけど、黒人がスラングを使うとhoodだと思われる”と感じています。hoodは一味、ギャングの仲間という意味ですね。←そもそもギャングが“仲間”の意味でした。

終盤、父親マーヴェリックがスターに謝ります。“お前に、黒人とは何か、どう生きるべきかを教えなかった俺が悪い”と。それに対してスターは、“そうだね。でも人間とはどうあるべきかは教えてくれたよ”と返す。その後ろに“Duh”とひと言付け加えてました。

このduhは1940年代から使用されている言葉だそうで、今まで気づきませんでしたが「クルーレス」などで使われていました。アーバン・ディクショナリーには、"No shit sherlock" とか"Thank you captain obvious"と記されています。“説明されなくても分かる”という意味ですね。使えるかも。

このduhに対する日本語字幕が“モチだよ”でした。僕の子供時代だと“アタリキよ”でしょう。“あたり前田のクラッカー”というのもありました←NHKでは不可(笑)。この字幕はいいとしても、きちんとpoliceと言っているのに“サツ”にしたり、俗語を濫用している手法に僕は不満です。scaryを“ビビり”とか頑張ったつもりでしょうが、翻訳者の存在が見えては字幕としてまずいと僕は考えます。

彼氏のクリスはスターに、“僕は肌の色なんか見ていない”と終始真剣な気持ちを貫きます。その役を最初にふられた俳優さんは、人種偏見を持っていたらしくクビにされたとか。クリスという存在は、それこそテイラー・スウィフト主演のテレビ番組みたいですが、その典型的な描き方がステレオタイプ以上に思えるから許せる。

まだ見ていない人は、ぜひご覧ください。よく出来た映画だと思います。
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