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2019年11月10日23:16

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神宮スズメの独り言2019秋〜73〜連覇

信濃町の駅から歩道橋を渡って神宮外苑方面に向かう。早慶戦の時よりも人が多い。そしてグループで警官に問い合わせる人たち。明らかにいつもの信濃町駅とは違った。

絵画館前を抜けて東京五輪のサブトラックが出来つつある旧軟式野球場、バッティングセンターを抜けてゴルフ練習場が見えてくる。それと同時に大行列が見える。

天皇陛下の即位を祝うパレードの沿道での見学者の持ち物チェックに行列だ。その合間を通してもらって神宮球場に向かった。上空にはヘリコプターが数機飛び交い、お隣の秩父の宮からは関東大学ラグビーの慶應対明治の大歓声が聞こえてくる。

しかし神宮球場も負けてはいない。今日も外野席を空けた。応援スタンドも2年連続優勝を狙う国士舘と2011年夏以来の甲子園を目指す名門帝京はブラスバンド、チアリーダー、そして応援生徒で埋まった。秋季東京都高校野球の決勝。勝てば来春のセンバツの出場権をほぼ手中にする。

特に秋の大会は2009年以来、そして夏も2011年を最後に甲子園から遠ざかっている帝京側には多くのファンやOBが集まった。ボクの席のすぐ後ろにもまだ20代中盤と思われる野球部OBがグループで陣取った。同期や先輩の誰が来ているかとかどの席にいるか、彼女を連れているかという会話が飛び交う。

試合が始まると当然帝京を応援しているが、実際に野球部にいた元球児たちはその分析は鋭い。単純にイケイケと声を上げる保護者達とは違う。

国士館の中西投手のコントロールの良さをすぐに見抜く。帝京の田代投手の昨日の投球と比較する。

準決勝からの連投となった今日の両チームの先発投手。田代君は昨日も打ち込まれ4回途中で降板していた。中西君は2安打無四球で完封。ただ、中西君は100球程度での完封だっただけにまだ余力は残っていたのかもしれない。

帝京は初回先頭の武者君がセンター前に弾き返し出塁。送りバントで2塁に進め、昨日バックスクリーンの左の大きな本塁打を叩き込んだ主将の加田君が打席に入る。初回から盛り上がる帝京。だが加田君は空振りの三振。新垣君も外野フライに倒れた。

だが、帝京としてはこれで行けるだろうと感じたはずだ。しかし、実はこのあと帝京の走者が2塁を踏むのは9回までない。

国士舘も1回の裏、先頭の林君がセンター前に運ぶ。同じく送るが無得点。まったく互角の初回だったが3回裏の国士舘の攻撃で帝京はミスが出る。1死から中泉君が内野安打で出るとワイルドピッチで2塁に進み、ショートゴロの間に3塁へ進塁した。

このショートゴロだ。二遊間寄りに飛んだゴロを捕球した遊撃手は3塁を狙う2塁走者を悠々と刺せたはずだった。帝京OBたちも「サードアウト」と叫んだ。そしてその2塁走者もアウトを観念して3塁ベース手前で止まりかけた。3塁へ送球されると想定し次にやるべきことを考えただろう。その際は打者走者を2塁に進めるため自ら2・3塁間の挟殺プレーに持ち込もうとしたはずだった。だが、遊撃手は躊躇なく1塁へ送球した。3塁ベース手前で止まっていた2塁走者はあっけにとられたような感じで3塁ベースに到達した。

帝京OBが声を上げた。「このあと点が入ったら、あのショートやられるわ」

そしてまさにそれは現実となる。四球で1・3塁とされた帝京は3番の清水君に左中間フェンスまで達する2塁打を打たれて2点を先制された。そして帝京のミスは続いた。黒澤君のファウルフライを3塁手が追いすぎてバンザイ。チェンジにできずその後四球で1・2塁とされたあとの斉藤君の打球は緩い1塁ゴロ。捕球してベースを踏めば今度こそこの回は終わったはずだったが、落球してもたつき満塁。そして吉田君の2塁打でさらに2点を失った。

ボクはそのとき思った。かつての帝京だったらそんなエラーが続出すればベンチは大喜びだったからだ。自チームのミスを喜ぶ。それは控え選手にとっては出場機会を得るチャンスとなるからだ。ボクはかつての帝京を見てそんな行為が好きではなかったし高校野球らしくないと思っていた。

だが、最近の弱くなった帝京を見るとそんなチーム内のギラギラした競争がなくなってきたように感じるのだ。なんと無責任な感想だろうか。かつては味方のミスを喜んで自分を出場させろと言わんばかりのベンチを苦々しく思っていたが、それが見られなくなると帝京らしくなくなったから弱くなったのだと嘆くのだ。

自分でも苦笑いしながらも試合は続く。4回に帝京は2本目の安打が出るが無得点。これが帝京の最後の安打だった。そしてその裏の国士舘は安打と送りバントにタイムリーときれいにつながって1点を追加した。

5回の帝京。国士舘の中西君は昨日の準決勝から続けていた無四球がここで途絶え尾瀬君を歩かせた。だが後続は続かない。さすがに中西君も昨日の完封からの連闘だ。スタミナが切れてきたのかもしれない。6回には2死から加田君に死球を与えた。

6回の裏の国士舘は連打で1死1・3塁からセーフティスクイズ。だがこの打球を捕手はすぐに捕球する。さすがに突っ込めない3塁走者。しかし1塁送球の間にホームを狙った。1塁はアウト、そしてバックホーム。だがカバーに入っていた投手はこの返球を落球。

6−0となった。7回にも帝京は死球で走者を出すが無得点。そして9回、加田君は2打席連続の死球。1回には2塁に走者を置いて三振。4回には安打を放ったがその後2つの死球だった。主将で3番、結果を出せないこととこの連続死球に不満はあっただろう。死球を受けたあとも打席に立ち続け投手を睨み返した。そしてバットをベンチ寄りに投げつけて1塁へ向かった。

「あれはいかん」帝京OBが言う。気持ちはわかるがあの態度はよくないと言っていた。応援する気持ちは人一倍であるはずだ。だが、大人の、そしてOBとして的確な見方をしていた点にボクは感心した。

結局その後帝京は3人が倒れて6−0で敗れた。帝京OBたちは「打てなかった4番の新垣君は春にはライトで8番だ」とか試合終了後の挨拶を見て「抱き合っている場合じゃない。すぐに帰って打撃練習だ」と帝京には厳しいことを言い合っていたが、国士舘に対してはいいチームだと称えていた。相手のミスに付け込んでの集中打での先制点に中押し、そしてダメ押しと試合の流れを渡さないゲームメイク。そして中西投手への称賛。

久しぶりにあったかつてのチームメイトや先輩。近況報告を交えながらも母校のチームへの愛着、そしてそれと同じくらいの叱責、さらに相手チームへの素直な評価。一辺倒の応援とは違って聴き応えのある会話。残念なのは誰よりもであるはずだが、ボクを楽しませてくれた彼らだった。

中西君は連投で2試合連続2安打完封。帝京は完敗と言えるが、なんと言っても今回は組み合わせが帝京にとっては死のブロックだった。センバツの選考委員会はそこまで見てくれるかどうかは分からないが、順当に行けば関東大会の決勝進出両チームに1点差で敗れた埼玉勢2校の争いとなるだろう。

しかし、帝京も冬を越してこのまま黙ってはいないはずだ。特に最後にマウンドに上がった背番号1の武者君。昨日は本塁打も放った先頭打者だ。投手陣はタイプの違った投手を備えている。複数投手を使うことが要求される夏の大会には力を発揮してくるだろう。1番ピッチャー武者君というアナウンスを聞いてみたい気もする。




2019年11月10日 秋季東京都高校野球 決勝(於 明治神宮野球場)
帝京
000 000 000 = 0
004 101 00x = 6
国士館
(2年連続7回目の優勝)

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