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2019年11月02日04:21

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英軍の暗号解読班で活躍した女性たちの“戦後”を描いた、興味深いミステリー・ミニシリーズ。「ブレッチリー・サークル(シーズン1)」(2012)全3話を鑑賞。

ふとイギリス製テレビ・ミニシリーズに手を出してしまいました。先日見た「 ジェントルマン・ジャック 紳士と呼ばれたレディ」は1話が1時間あり、全8話でしたが、今回は1話45分程度で全3話という気軽さがありました。第2シーズンは全4話ですが、2回で1つの話が完結しています。だから2時間20分の作品が1本と、90分の作品が2本あると考えればいい。そうそう、シネフィルWOWOWでは、「暗号探偵クラブ 〜女たちの殺人捜査」というタイトルでした。

シーズン1の第1話冒頭で、まずドイツ軍の暗号通信を解読する女性たちが描かれます。デートディヒという人物の異動を知らせる通信が異常に多いと気づいた分析官が、仲間とパターン分析をして内容を解明するわけです。そして終戦となり、ドイツ軍の動きを解明していた能力を、犯罪捜査に生かそうとする。

戦時中の特別な公務については、その秘密を明かしてはいけないという法律があったようです。そう言えば「大脱走」という映画を作るときに、捕虜に対する機密連絡方法のいくつかは、今後のことを考えて内密にさせられたという話がありましたね。政府というものは、常に戦争を念頭に行動しているのでしょう。

戦後、復員してきた将校と結婚し、2人の子供をもうけたスーザン(アナ・マクスウェル・マーティン)を中心に、記憶力抜群のルーシー(ソフィー・ランドル)、行動力ある大柄なミリー(レイチェル・スターリング)、そして司書をしているジーン(ジュリー・グレアム)の4人が集まると、ホームズに匹敵する名探偵となります。

このチームプレイがポイント。しかし世間(たとえば警察とか)は、暇を持て余した主婦たちの道楽としか考えない。アメリカでは復員兵の職を確保するため、“妻は家庭を守れ”というキャンペーンで、男性以上の能力を示した女性たちを家庭に閉じ込めました。似たことがイギリスでもあったわけです。それから半世紀以上たって変化した“常識”から当時を回顧するという作りのドラマでした。

やはり、理詰めの推理が楽しいですね。物語の都合上、というか観客へのサービスなのか、初期の分析とは違う展開になっていくのが少し不満ですが、物事が行き詰ったらそれ以前の前提に疑問を持って考え直す、という常道が心地よいのでした。

一度目にした情報は細かく記憶してしまうというルーシーの能力がいい。演じるソフィー・ランドルが「ジェントルマン・ジャック」のアン・ウォーカーだったもので、最近覚えた僕はご満悦でした。でも、黒髪にするとイメージが違うなあ。暴力亭主におびえる描写もクリシェだし。←とか言いながら、悦に入って眺めていたのですけど。

戦時中から7年後という設定ですが、戦時中と見てくれが変わらないのも難点。若いままなら許すけど、戦時中から老けたままというは好みではありません。ま、テレビものにそんな要求は無茶か。このあとシーズン2がさらに2〜3年後で、2018年にはサンフランシスコ編も作られているらしい。でもこっちは8話もあるみたいだな。パスか?

ということで、スー・グラフトンが登場したころに女性探偵シリーズをいくつか読みあさった僕には、なかなか興味深いシリーズです。時間があれば、見るかも。って、シネフィルWOWOWを解約したくせに、よく言うよね。

写真2がシーズン1で活躍する4人。左から、ミリー(レイチェル・スターリング)、ジーン(ジュリー・グレアム)、ルーシー(ソフィー・ランデル)、スーザン(アナ・マクスウェル・マーティン)です。写真1のジャケに映っているのは第4話から活躍するアリス役のハティ・モラハン。タイトルバックにはエニグマが映りますが、活躍はしません。あくまで人間の力が描かれます。
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