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2019年08月31日20:19

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ヴィーナス&女神ツアー54 文字の刻まれた縄文土器

井戸尻考古館に展示されていた土器の中で
気になる要素があって、撮影したものが他にもある。

井戸尻2号址から出土した深鉢は口縁が微かに四方に盛り上がっている。
(写真左)
頸部には不定形だが横長の隆線で仕切りられた区画が複数存在し、
その区画の中にはドットで、平行線やギザギザ模様が入っている。
それは狭い場所に連なる、あぜ道で区切られた水田のようだ。
ドットの使い方も、ただドットを並べた部分と
先に筋を引いた中にドットを打った部分があり、表情の付け方が高度だ。
一方、胴部はこれから水田になる前の荒地のように、
一部、隆線が底部に向かって延びている。

曽利32号址から出土した深鉢は外面の全てが
隆起した文と突起した文で覆われていた。

フォト

その外面の多くは隆線文で覆われているのだが、その一部
に頸部から胴部に垂れ下がる文が入っているのだが、
その垂れ下がっている文の頸部部分には魚の鰓のような複数の突起文が
樹木の表面に繁殖するサルノコシカケのように生えている。
口縁のすぐ下には波打った皺のような文が
鍔のように外に向かって突き出て取り巻き、
その鍔の一部が上に向かって突起したり、渦状突起が入っている。
面白いのは口縁の装飾で、口縁を1周している紐状の突起が
上記写真の手前の部分で環状突起の上に乗るために口縁から離れ、
隙間ができていることだ。
紐状突起と紐状突起がどういう風に結びついているのか、
向こう側は見えないのだが、紐状突起を「蛇」と解釈するなら、
弥生時代なら環は太陽ということになるのだろうが、
縄文土器の場合は「蛇と月=太陽と月=アマテルとツキヨミ」、
頸部から胴部に垂れ下がる文は「ソサノヲ」ということになるのだろうか。
何れにせよ、口縁を口縁部から離して持ち上げてしまうという発想は
造形的な発想から生まれるものではなく、記号を表現しようと考えない限り、生まれない発想だと思う。

同じ曽利遺跡の71号址から出土した深鉢は口縁部に八つの突起があり、
その突起と口縁部に、
ニットで編んだカバーが掛けられているような装飾がなされている。

フォト

八つの突起は四方突起を単純に八方突起としたものか。
ニット風装飾は口縁部だけではなく、頸部と胴部の境のくびれにも
「ニットの絞り」のような文が巡らされ、
さらにくびれから胴部の中程まで、渦巻き隆線文と山形隆線文、
平行隆線文がニット模様のように装飾されている。
口縁部が滑らかになっていないのに、底部に焦げ目が残っており、
水を煮沸するのに使用した深鉢だろうか。

上記写真右の水煙渦巻文深鉢には解説文のプレートが付けられていた。

「曽利遺跡4号住居址から出土した、当館を代表する資料の一つです。造形の素晴らしさもさることながら、同じく4号住居址から出土した6点の土器とともに、曽利I式(約4500年前)の基準となる、学術的にも非常に価値の高い土器です。」

縄文土器というと、
まずは種々の火焔型土器の写真が紹介されることがほとんどだが、
次いで紹介される縄文土器の写真となると、
この曽利I式水煙渦巻文深鉢が紹介されることが多い、著名な土器だ。

向原(むこうぱら)9号址から出土した重弧文深鉢は名称通り、
四方の口縁部に繊細な同心円文が入っており、その同心円の中心点部分が
口縁から少し突き出ている(写真中)。
その中心部から縮れ麺のような紐状文が胴部の下部まで
真下に向かって延びている。
その紐状文と直角に交差した紐状文が
頸部と胴部の境のくびれ部を取り巻いている。
気になるのは紐状文交差部左下にある
アルファベットの「A」のような隆起文だが、造形目的なものではなく、
文字としか思えないものだ。
この土器は胴部から口縁部に渡って前面に煤が残っており、
やはり、湯を沸かすための土器だろうか。

最後にネームプレートが周辺に見当たらなかった土器だが、
口縁に歪みがあり、口縁部下部にぬいしろの始末のように
円形のドット文が巡らされている(写真右)。
口縁を乗り越えて内面に回り込んでいる太い隆起文が1本、
胴部の下部まで真下に延びている。
この隆起文は四方に入っている。
口縁部と胴部の中ほどまでは全体に細かな波状の線文で埋まり、
それに重なるように太い縦の縮れ麺状の文と
二重の線の両端が楕円形鍵形に曲がった横向きの自由曲線文が凹刻され、
胴部の中程から下の部分には縦に平行線状文が装飾されている。
この土器は、どこを取っても造形に自由さが溢れている。
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