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2019年03月26日12:35

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不定期不連続物語「蟲五郎幻行録」その453

【ヤモリ】
さる日、蟲五郎ヤモリに心奪うる。
石壁に張りつきおりしそのさま、ときにサソリのごとき姿とも見ゆることあり。
かの日気候温暖にして明朗なる好日。
夜半まで残りし温気の誘いに、爬虫のともがら眠りより覚めし運びと思わる。
張りつきたる壁に似たる色その身にまとい、いと可愛げなるもの、動きだすときを待つ。
かくのごとき小さげなることに心惑うは、悟りとはほど遠き境地なりや。
あるいはまたほど近きことなりやと蟲五郎、麻酔いにて間延びしたる面持ちにてただ思う。
かくして蟲五郎ダシに並べし和文字いくつか。
言葉の遊びにしばしふけるものなり。
これ苦しまた楽し。
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