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2018年12月02日20:03

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11/30 ピエール・ボナール展@国立新美術館

前売りで「東山魁夷展」とセットのチケットをオンラインで購入。なぜこの二つのチケットがセットかというと国立新美術館でほぼ同時期に開催だからだ。別々の日に一つずつ観た。(東山魁夷展はこちら)体力と集中力が続かないという理由もあるがどちらも好きな画家なので大事に観たかったのだ。
好きな理由は、どちらもその色、配色にある。ボナールはナビ派に属され、ナビ派の創始者はゴーギャンのように言われているが、私はナビ派が好きということではなく、好きな画家がたまたまナビ派に多いだけのような気がする。(残念ながらゴーギャンはあまり好きではない。)
絵が平面的なのは「日本かぶれのナビ」と言われているように浮世絵の影響なのだろうけれど、色に気を取られてそんな解説はどうでもよくなる。まるで印象派のような明るく美しい光を描いたり、気持ちの赴くままに配した色遣いはマティスみたいだったり、ドガのように日常のなんでもないポーズを愛おしげに描いたり。
犬も猫も頻繁に登場していて、その姿がまた大変に愛らしいのだ。室内で犬猫を描く場合普通は人間の足元、床に居るものだが、ボナールの犬猫は人と一緒にちゃんと食卓に着いている。椅子に乗って食卓に伸び上がっているか、人間に抱かれているか、なのだ。普通の人間の目からはお行儀が悪いってことになるが、そんなところにボナールの犬猫好きの度合いが見てとれて、微笑ましい。犬、猫登場の絵は各10点前後あったように思う。
輪郭線がぼやぼやっとしていて、筆の跡も不規則で粗め、油を多く使っているにもかかわらずマットな感じもいい。
東山魁夷に比べ格段に空いているかと思ったら意外なことにそうでもなかった。大作も多かったのであまり窮屈な思いはしなかったが、会期はあと半月、休日は混むかもしれない。
フォト フォト
http://www.nact.jp/exhibition_special/2018/bonnard2018/
http://bonnard2018.exhn.jp/
19世紀末のフランスでナビ派の一員として出発した画家ピエール・ボナール(1867‐1947年)は、浮世絵の影響が顕著な装飾的画面により「日本かぶれのナビ」の異名を取りました。20世紀に入ると、目にした光景の印象をいかに絵画化するかという「視神経の冒険」に身を投じ、鮮烈な色彩の絵画を多数生み出します。本国フランスでは近年ナビ派の画家たちへの評価が高まり、2015年にオルセー美術館で開催されたピエール・ボナール展では51万人が魅了され、2014年のゴッホ展に次ぐ、歴代企画展入場者数の第2位を記録しました。
本展覧会は、オルセー美術館の豊富なコレクションを中心に、国内外のコレクションのご協力を仰ぎ、130点超の作品で構成されるボナールの大規模な回顧展です。油彩72点、素描17点、版画・挿絵本17点、写真30点といったさまざまなジャンルを通じて、謎多き画家ボナールの魅力に迫ります。

1日本かぶれのナビ
2ナビ派時代のグラフィック・アート
3スナップショット
4近代の水の精(ナイアス)たち
5室内と静物「芸術作品−時間の静止」
6ノルマンディーやその他の風景
7終わりなき夏


《アンドレ・ボナールの肖像、画家の妹》フォト
最初の展示室でまず目を引いたのがこの絵。赤いスカートが鮮やかで、二匹の犬が嬉しそうに跳ねている

《庭の女性たち》フォト
《格子柄のブラウス》フォト
昨年のナビ派展(こちら)にきた絵も再来日。今回もオルセー美術館特別企画だからだ。

《白い猫》フォト
正確には白猫ではなく、頭と背中尻尾に茶色が入っている。この柄の猫度々登場だからボナールの飼い猫ね

《黒いストッキングの少女》フォト
展覧会全体を通して大きな絵が多かったが、小さな絵に気に入ったものがいくつかあった。これもそのうちの一つ。

《男と女》フォト
同じナビ派にカテゴライズされているヴァロットンのような不穏さを感じる絵。衝立で真っ二つに分けられた男と女。ボナールとその恋人マルトがモデルといわれるが、女の方には子猫2匹が無邪気に寄ってきている。意味深。

《フランス=シャンパーニュ》フォト
ボナールが有名になったのは広告コンテストの受賞がきっかけ。ロートレックかと思った。知らなかった。3章ではボナールが撮った写真の数々。それを元に描いた盥を使う裸婦の絵は有名。モデルはマルトだが、神経症で日に何度も入浴をしていたんだって。それも知らなかった。好きな画家なのに、ボナール展は初めてで知らないことが多い。

《化粧室、あるいはバラ色のの化粧室》フォト
ボナールは身だしなみをする女性をたくさん描いている。どれもそれぞれいいけれど、画像にはなかったが少し痩せ気味のモデルの絵が好みだった。顔をはっきり描かなかったり、顔だけ影になっているのはどうしてだろう。

《冬の日》フォト
ボナールの絵を満たしているのは、瞬間を切り取るのではなく「画家が記憶とカンヴァス上の像を往還しながら重ねた絵の具の層であり、その狭間で宙吊りにされた時間なのです」とキャプションにあった。彼は遅筆で、1枚の絵を10年かけて直し、仕上げるという。

《食卓の母と二人の子ども》フォト
《猫と女性あるいは餌をねだる猫》フォト
《ル・カネの食堂》フォト
ボナールの猫は椅子の上から食卓を狙っていてやんちゃで可愛い。

《花》フォト
西洋美術館の常設で目にした。この色とタッチがボナール。

《セーヌ川に面して開いた窓、ヴェルノンにて》フォト
外に開けた窓のある室内はマティスを思い出す。明るくて暖かい色だ。ボナールの配色はいいなぁ。

《日没、川のほとり》フォト
ボナールは印象派の可能性を再認識したという。

《水の戯れあるいは旅》フォト
《歓び》と対になった作品で、展示途中で見た図録でタピストリーかと思っていたら、大きな油彩画だった。注文主の食堂を飾った装飾画。縁を飾る猿と鳥が可愛い。

《ル・カネの眺望》フォト
《アンティーブ》《南フランスのテラス》《南フランスの風景、ル・カネ》など、晩年の小品6点はどれも色が素晴らしく素敵だった。晩年は南フランスの景色が多いせいか、特に色が明るくなった感じ。

そして絶筆《花咲くアーモンドの木》フォト 
アーモンドの花はソメイヨシノに似ているのよね。ボナールは来年もまた見たいと思って描いたのかな。胸がポッと暖かくなるいい作品。

最後に「AIT」という画家の制作プロセスを追体験するプロジェクションマッピングの部屋があります。最近流行りのプロジェクションマッピングですが、こういうの嫌いじゃないな。
フォト フォト

12月17日まで。



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