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2018年11月26日23:53

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吉村芳生展

東京ステーションギャラリーで「超絶技巧を超えて 吉村芳生」展。
入り口には、本人の顔写真が日付と共にずらっと並んでいる。
一年間毎日自分の顔を写真に撮ったのかと思ったが、よく見るとすべて鉛筆画。
写真を元に9年間かけて仕上げたという。一見すると写真にしか見えない。

たとえば巨大な新聞の上に自分の顔を描いた作品。
良く見ると新聞が一文字一文字総て手書き。
他に普通の印刷された新聞に自分の顔を描いた作品も。こちらも毎日毎日描き続ける。

色鉛筆で描いた草花も。こちらはカラー写真と見まがう出来栄え。
中には、セロハンテープを剥がした跡のようなものまで、丹念に鉛筆で再現されていたりする。
本物を写生したのではなく、カラー写真を模写したのだということを主張しているのであろう。

若い頃は様々な技法を試みている。
ジーンズを描いた白黒の絵は、写真に2ミリ四方の方眼を書き、その方眼ごとに色の濃さを、0から9の数字に置き換える。今度はその数字に従って、黒い斜線を引いていく。二ミリ四方に1本だけの線だとほとんど白いままだが、8本ともなるとほとんど真っ黒になる。
約400×300の升目をひたすら単純作業で埋めていくのだ。

本人の言葉。
「私の作品は誰にでもできる単純作業である。……上っ面だけを写す。自分の手を目を、ただ機械のように動かす。」

地元の山口であまり知られることなく作品を作り続けたが、2007年の「六本木クロッシング展」でブレイク。すでに50歳を過ぎていた。2013年に逝去。




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