名古屋市牛牧遺跡FIN　松ヶ洞古墳群

牛牧遺跡の北東1.9km以内に位置する
松ヶ洞古墳群(まつがほらこふんぐん)は調査されたもののみでも
大小様々な17基の円墳と2基の方墳から成る古墳群だ。
その多くが牛牧遺跡よりも50m近く高い丘陵の尾根に点在している。


まずは教育委員会の制作した案内板『松ヶ洞古墳群』の設置してある
松ヶ洞古墳群の南部に位置する池の北側に向かった。


案内板には、こうある。

「このあたりにはかつて二十余基の古墳があり、松ヶ洞古墳群とよばれ現在も一部残存している。いずれも五世紀後半から六世紀前半の短い間に形成された8〜18メートル程の規模の小さな円墳や方墳の古式の群集墳である。
　第8号墳は、一部けずられているが、もともとは一辺8メートル余、高さ1メートルの方墳で、丘の周囲には円筒埴輪をめぐらし、噴頂には家形埴輪がすえられていた。(図版左)」

この案内板に調査された
19基の古墳の位置を示した地図が添付されていたので、
iPadに複写し、その地図を頼りに、
まずは案内板に説明のあるる8号方墳を観に行くことにした。
それは案内板の北北西50mあまりの場所にあった。
愛車で入って行けるところまで路地を辿り、
袋小路の突き当たりに愛車を停めていると、
8号方墳の路地側に面している家から叔父さんが出てきた。
「古墳て観られるようになってるんですか？」と問うと、
「何も残ってませんよ(＝入ってくるな)」という返事。
方墳はこの叔父さんの家の裏面に当たり、
どこからが私有地なのか不明なので、後回しにして、
明らかに叔父さんの私有地ではない、家の向かい側の森の中にある
11号墳を観に行くことにした。
バイクでこの路地に入ってくる時、
横目にその森に入る階段のようなものが見えていたのだ。
そこへ向かおうとすると、叔父さんが背中から
「スズメバチがいるから森に入らない方がいいですよ(＝森に入るな)」と
言ってきた。
「スズメバチはこちらが攻撃しなければ大丈夫ですよ(＝うるせージジイ)」と言いながら、さっさと森に入った。
階段に見えていたのは木の根の皮がむけて素木が露出したものだった。
森の中は枯れた落ち葉が降り重なり、痩せた灌木が茂り、
枝が枯れ落ちたりしていて、気軽には歩けない状況で、
入った場所から古墳まで50mあまりしか無いのだが、
辿り着くのに手間が掛りそうなので、古墳方向に向けてシャッターを切り、
別の古墳をゆっくり観ることにした。
しかし、案内書では「現存」となっていても、
その後、住宅や道になって消失しているものもあって、
結局、スズメバチの叔父さんの家の周囲の4基の古墳と、
住宅の途切れた外れに位置する16号墳以外の古墳は、
すべて私有地の奥側に古墳が位置していて、
古墳には辿り着けないことが判った。
唯一、邪魔されないで観られたのが16号墳だった。
ほかの多くの古墳が道路から見ると、
土手の上の森の中に位置しているものが多かったのだが、
16号墳のある森は道路と段差が無く、森に入るのは容易だった。
折り重なった枯れ枝や蜘蛛の巣を避けながら20mほど進むと、
枯れ葉の盛り上がっている場所があった(写真右)。
『守山区歴史散歩』のウェブサイトによれば
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Desert/1646/index.html

「直径10m、高さ1mの円墳。」とある。
直径10mと言っても、裾はシームレスだ。

19基の古墳のサイズは以下となっている。

松ヶ洞１号墳＝直径7.5m、高さ0.5mの円墳
松ヶ洞２号墳＝直径145m、高さ1.3mの円墳
松ヶ洞３号墳＝直径15m、高さ1.6mの円墳
松ヶ洞４号墳＝直径15m、高さ2mの円墳
松ヶ洞５号墳＝直径9m、高さ1mの円墳
松ヶ洞６号墳＝直径9m、高さ0.75mの円墳
松ヶ洞７号墳＝直径10m、高さ1mの円墳
松ヶ洞８号墳＝一辺8.4m、高さ1m余の方墳
松ヶ洞９号墳＝直径16m、高さ1.5mの円墳
松ヶ洞10号墳＝直径7m、高さ0.6mの円墳
松ヶ洞11号墳＝直径10m、高さ1mの円墳
松ヶ洞12号墳＝直径12m、高さ1mの円墳
松ヶ洞13号墳＝直径18m、高さ1.7mの円墳
松ヶ洞14号墳＝一辺10m、幅1.5m〜1.8mの方墳
松ヶ洞15号墳＝直径9m、高さ1mの円墳
松ヶ洞16号墳＝直径10m、高さ1mの円墳
松ヶ洞17号墳＝直径10m、高さ1mの円墳
松ヶ洞18号墳＝直径85m、高さ0.6mの円墳
松ヶ洞19号墳＝直径13m、高さ1.5mの円墳

尾張を中心とした古墳は戦国時代に周辺の築城に際して、
石を持ち去られており、
名古屋城築城に際しても、多くの石が流用されたと言われている。