mixiユーザー(id:6327611)

2017年08月24日05:30

3116 view

ひとつの話を、2本に分けて公開する手は“あくどい”からやめてほしい。竹洞哲也監督「桃色図鑑」(2015)。

契約中のCSで放送していました。先日テアトル新宿で見た「恋愛図鑑」と対をなす作品です。どちらもR−15版で見たことになりますので全体に公開とします。ピンク映画としては、今回の「桃色図鑑」が「恋愛図鑑 フってフラれて、でも濡れて」で、先日の「恋愛図鑑」が「恋人百景 フラれてフって、また濡れて」として、共に2015年12月に公開されたようです。

物語は、ピンク映画の男優として女優の聡美(友田彩也香)と同棲している琢磨(ダーリン石川)が、結婚願望のある聡美がうとましくなって故郷に戻り、サラリーマンとなる。そして職場で知り合った理佳(横山みれい)と関係しますが、理佳にはAV出演の経験があった、という展開です。

「恋愛図鑑」では話の中心にいた、農家の長女・佐々木房子(加藤ツバキ)と、その妹・凛(樹花凛)との関係は後半に現れるだけですが、冒頭の聡美との別れ話などが繰り返され、どうも同じ映画を見ている気がして居心地が悪い。いっそ2本を1本に編集して見せてくれと思いました。僕は1つの話を2本に分けた「ラブ・ストーリーズ」は大好きなんですけどね。

ネッド・ベンサン監督の「ラブ・ストーリーズ コナーの涙」と「同 エリナーの愛情」は、きちんと双方の視点に立って作られていました。観客の視点が違うので同じ映画を見せられている気にならない。むしろ“そうだったのか”と自体が深く読み込めます。この竹洞作品は観客を第三者的立場に立たせて進行します。だから“同じ映画を見せられている”という気分になる。同じ場面を使い回しすることで、1本ちょいの予算で2本作りました、という下心だけが観客に伝わるのはいかんでしょう。

それとR−15版だからか、絡みシーンが変にアップが多くて苦しい。こんなことなら絡みシーンなんかカットしてもらった方が見やすいと思う。僕は最近日本映画が使う、“前後篇”仕様の映画を全く見ていませんが、この竹洞作品みたいに、似たような内容が繰り返すだけなら、それは“手抜き”だと言っておきましょう。だらだらと無駄な映像を継ぎ足しているだけに思えるもので。

僕は今までの竹洞作品がけっこう楽しくて、だからわざわざ追いかけているわけです。新作ではアクションに挑戦しているらしいので、やはり追い続ける必要がありそうですが、安易な映画作りはやめていただきたい。期待しているからこその苦言です。

たとえば妹の凛が、昔から知っている農家の義男に“凛ちゃん”と呼ばれて、即座に“キモい”と返し、それに対して昔から好きだったみたいなことを言うと、“死んで”と無視する場面なんか、いい感じだったわけです。でも凛ちゃん役の樹花凛の出番が少なかったな。ラストのモノローグの“質”を考えたらしかたないかとは思うけど、好みのタイプなのです。

とにかく竹洞監督には、いろいろ期待していますから、文句を言わせていただきました。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年08月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031