試合前のスタンドに行くと松戸向陽高校のユニフォームを着た女子部員がいた。背番号は11。当然試合には出られない。
しかし、彼女が11ということはグランドに立つ選手は10人ということだ。
相手は館山市の名門安房高校。21世紀枠での甲子園出場がある。卒業生で最も有名なのはX JAPANのYOSHIKIとTOSHI。当然応援は「紅」
しかし、今日の習志野秋津球場は住宅地にあるという理由で9時半まではブラスバンドの応援は禁止。8時45分試合開始のこの試合でブラバンの応援が始まったのは3回からだった。
千葉県大会の1回戦。静かに始まったこの試合は以外にも松戸向陽が先制する。
風が強かった。1塁への内野フライに1塁手がボールに触れることなくヒットとなったケーズもあった。
そんな試合の先頭打者、松戸向陽の麻生君のセンターへの当たりはグングン伸びて2塁打となった。安房の関口君は捕球できるような追い方だったが・・・・
2番の谷山君は送ることができず3球三振。その後、牽制球でランナーは2・3塁間に挟まれるがタッチを潜り抜けて3塁へと進むと安藤君のタイムリーが出たのだ。
その裏の安房は5安打と1つの四球で5点を挙げる。
2回の安房は3点、3回には6点。3回を終えて14-1と安房がリードした。
試合前から予想されたように5回コールドは確実となった。
それでも・・・・
松戸向陽は2回に先頭打者が安打で出るもその後3者連続三振。3回は3者凡退。
しかし4回・・・・
あっさり2死となるも佐々木君が四球で出ると、石井君の3塁打が飛び出す。
4回の裏にさらに3点を追加され、最終回となる5回表。
2者連続三振の後に打席に立ったのは1回に送ることもできず三振に倒れた谷山君。彼は3回にも三振を喫していた。しかし、この打席ではセンター前に運ぶのだ。さらに2盗を決める。
得点には至らず17-2で安房高校がコールドで勝利をおさめた。
ある意味順当な結果だった。だが・・・
安房高校は1塁ランナーをおいて長打が出たものの本塁突入を躊躇してバッターランナーが走塁死した。2死3塁からの安打において3塁ランナーはボールがバウンドするのを確認したスタートを切った。相手走者を塁間に挟みながら進塁を許した。
チームの力差があるから問題にはならない。しかし、接戦だったらどうだろう。
明らかにチーム力の違う試合においてこそ、そのチームを見ることができる。勝ち方と言うのがある以上、負け方もある。
安房高校はいい勝ち方だっただろうか・・・・
少なくとも部員10人、女子部員を入れても11人の松戸向陽はコーチャーズボックスに入る選手も打順がもっとも遠い選手がやる。ボールボーイも出せず、グランド整備担当の近隣の当番校の選手が手伝っている。
日頃の練習に至ってはもっと苦労があるだろう。有能な選手が集まってくるわけでもない。そういうチームが17-2で負けた。
負けは負けだ。結果は変わらない。だがその負け方がどうだったか・・・・
同じ負けでもいい負け方だったかどうか・・・
逆転なんて不可能な状態で1点を返した。まったくボールにかすらなかったのに最後に安打を放った。
松戸向陽の10人の、いや11人の選手たちは野球をやめた後も何度も負けるだろう。だが、問題はその負け方である。
いい負け方を積み重ねた人生はいい人生だと思う。
2017年7月13日 第99回全国高校野球千葉大会1回戦(於 習志野秋津球場)
松戸向陽
100 10 = 2
536 3x = 17
安房
(5回コールド)
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