原美術館にて、「メルセデス・ベンツ アート・スコープ」展。
タイトルだけ見て、車のデザインの展覧会かと思ったら違った。ベンツが、日本とドイツの現代美術を支援するというプロジェクトの成果展である。
今回は、2015年に東京へ招へいしたステヴェンソン、2016年にベルリンへ派遣した泉太郎、それに過去このプログラムに参加した佐藤時啓の３人。
この美術館、品川駅から１キロちょっと離れていて、暑いのに歩くのしんどいな、と思いながらチラシを見ると「ベンツ�好�ラスにて送迎」とあるではないか。それならと出かけた次第。意外とこの送迎の利用者は少ないらしい。
ステヴェンソンの目玉は「ｅ」と題された１２点組。彼女が浮世絵工房を見学したとき、職人が使っている小さな机に注目した。その表面をそのまま版木と見做して、刷ったのだという。「ｅ」は「絵」であるが、一見、絵ではないものも、違う文化から見れば作品になりうる、ということだろうか。
泉太郎は、ビデオ作品や立体など、さまざまな技法で、おかしみを醸し出す。たらいで水浴びをするかの如く、開かれたトランクに水を張り、女性が自分の体に水をかけている映像。その映像を流すのは窓際で、窓の外にそのトランクが置かれている。写真は庭に設置された作品。
佐藤は、東京の街角の写真。1990年頃の白黒写真と、現在の同じ場所のカラー写真を並べる。三田や渋谷など数か所。もし60年代と90年頃だったら、まったく光景は異なっているだろうが、90年頃と現在の違いってなんだろうと考えさせる。90年だと、既に新宿には高層ビルが建っているが、佃の高層マンションはまだ数が少ない。
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