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2016年11月29日23:12

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マーラーの5番

コラニー(山梨県民文化ホール)で、西本智実とエルサレム交響楽団の演奏会。
まず、モーツアルトのピアノコンチェルト27番。柔らかく始まるが、なかなかピアノが登場しない。
いかにもモーツアルトらしい清澄なメロディがたんたんと演奏され、第3楽章になると8分の6拍子で軽快な感じの展開になる。プログラムには日本の13公演が記載されているが、この曲は甲府だけ。ソリストのガジェヴという若手イタリア人もここだけ。どういうことなのかわからないが、端正な演奏でオケも気持ちよく流している。指揮の西本智実も手持無沙汰。
終わって、ピアノソロのアンコール曲。

休憩後、いよいよマーラーの五番。オケの人数も倍以上に増え、80人近くがステージにいる。
マーラーはユダヤ人であり、その意味ではエルサレムの楽団にとっては特別な人物かもしれない。
西本智実は長身だし、颯爽として棒を振っているが、楽団は余裕で素晴らしい音を出している。
しばらく音を出さないときには、足元に置いてある飲み物を手にしたり、楽器を点検したり。
これだけの人数なのに、オーボエやクラリネットは楽器を持ち替え、パーカッションはいくつかの楽器を掛け持ち。それにしても40人を超える弦の響きは圧倒的だし、ホルンもこんなに響くのかと思うほど。すごい。
盛り上がりつつ第三楽章まで終わり、いよいよ第四楽章。ここは、ヴィスコンティの「ヴェニスに死す」に使われ有名になった。美少年に惚れる大作曲家というストーリーはマーラー自身をイメージしているし、実際にこの部分は奥さんに向けて書かれた旋律とも言われており、そんな言説抜きには聞けないのである。管楽器も打楽器も沈黙し、ハープを含む弦のみ。
第五楽章は、これまでの旋律がいくつか繰り返され、盛り上げてクライマックスへ。
これが、ヨーロッパの一流オケの実力なんだ、と納得の迫力だった。

客席は、6、7割の入りで、それほど熱気は感じられず、マーラーの後は拍手がなんとなく続く中、さっさと明るくなり、アンコール曲もなかった。しかし、実にいい演奏会だった。

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