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2016年09月24日15:01

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不定期不連続物語「蟲五郎幻行録」その179

【わらぶき】
そら、あのわらぶき屋根の小屋をごらん。
妙に鼻筋の通った五十がらみの怪しい男が、蟲五郎と三郎太に話しかけてきました。
室内をナナフシが這うような荒れようだが、あれでもちょいとは知られた居酒屋でね。
あそこで食わせるからすみ、これが実にいい味がするんだ。
韓国式のあかすり、あれで出た大量の垢を混ぜこんであるから、格別なんだとさ。
ちょっと天津甘栗に似た、ほっくりした感じもあってね。
辛口の日本酒には、この上もなく合うんだな。
・・・綿貫と名乗るその男は、ひとつも面白くないことを、そのまま延々と話し続けるのでした。
八重咲きの山吹が、ようやく湿気のなくなった秋風に揺らぎはじめた頃のこと。
舌足らずな男の早口声が、アベシンゾウ並みの不快さをもって、野山を渡ってゆくのでした。
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