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2016年09月07日23:16

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不定期不連続物語「蟲五郎幻行録」その168

【乾いた目】
蟲五郎と三郎太が乾いた目を向ける先。
そこには、ありとあらゆるやまいだれが転がっている。
肉をやめ、野菜だけを食っていれば安心、と高線量被曝ベジタブルを貪る御仁。
硬派の社会派でならした作家が、赤ちゃんプレイ中毒者だったという事実。
二日酔いせぬからと、甘い酒を浴びるほど飲んで吐血する内科医師。
若いだけが取り柄だった、売れないアイドルの末路。
幻覚性笑いタケと間違えて猛毒キノコを食った男がのたうちまわる。
洗いたての黒髪に魅了された出納課長の悲喜劇。
降り続く赤い雨に含まれた血液の量。
いずれも、まな板へ乗せられた鯉のような現代社会を剥ぎ取った景色としてしか、ふたりの目には映し出されないのであった。
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