職場脇を流れる浅川土手の斜面。
毎年春から秋にかけては数日の間に草がぼうぼうとなる。
いわゆる雑草。
しかしそれらは単に自分が名前を知らぬがゆえに雑草なのであり、それより寧ろ人間が勝手につけた名前なんぞというどうでもいいものの前に、ひとつの命である。
その命が、先日また無造作に刈り取られた。
小型の装甲車を思わせる刈り取り機械によって。
短時間のうちに土手斜面は坊主頭のようになり、それを見たヒトは「さっぱりしたね」などと言う。
ここに暮らしていた虫たちの大事な住処だった草むらが廃墟と化したのを見て、「さっぱりしたね」と。
根元から刈られたわけでもない草は、またしばらくすればぼうぼうとなろう。
しかし住処を奪われた虫たちは?
刈られて集められ、そして焼かれたりもする草の茎や葉には、きっと多くの虫たちの卵や蛹などが宿っていたことだろう。
このところ何かを見て悲しい気持ちになることが増えた。
歳のせいかな?
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