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2016年08月17日01:26

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都美術館

上野の都美術館で、「木々との対話」と「ポンピドゥーセンター傑作展」を見る。
木彫作家5人の作品を並べる「木々との対話」。
土屋仁応は、かなりリアリティのある動物。
田窪恭治は、古びた木材を金色に塗る作品がいくつかあったが、目玉は庭のイチョウの木の周辺にさびた鉄片を敷き詰めた作品。戦災で一部損壊したが、青々とした葉を繁らせているイチョウと、赤茶けたまるで陶器のようにも見える鉄。その上を歩くことで、ひんやりした感触を間接的に得るのだ。
国安孝昌の、部屋中にはびこるかのように木材を重ねた作品。おととしの国民文化祭に合わせて甲府駅北口に作品が展示されていた作家だ。
舟越桂は、「悼む人」の装幀にも使われた作家で、同書と同様な無表情の人物像。今回、目玉が大理石をはめ込んでいることを初めて知った。
そして、いつも楽しみな須田悦弘。今回、「ユリ」と「バラ」は壁の高いところに展示されていた。「雑草」はちょっとわからない。階段から、展示の裏側っぽいところがちょっと見えるのだが、そこに置かれている。そして、アートラウンジの古めかしい展示ケースの中に「朝顔」。最後は美術情報室(図書室)の棚の中。日本美術全集の一冊が、棚から抜かれているように見える。そこを覗くと奥に特別な照明があり、「露草」が。ちょっとあざといが、案内の方もいて、探しあぐねているとそっと教えてくれる。そのタイミングもいい。

「ポンピドゥーセンター傑作展」。
1906年から1977年まで、各年度一作品ずつを展示している。
ほとんどがタブローだが、若干の彫刻やレディメイドがある。
デュシャンの「自転車の車輪」やピカソ、シャガール、藤田嗣治などはいかにも。
1945年は、美術作品ではなく、天井のスピーカーから、エディット・ピアフの「バラ色の人生」が小さな音量で流れている。
戦後は、マティス、ビュフェ、レジェらいかにもフランスっぽい作家が並び、クリストの小さな梱包作品やアヴェドンがシャネルを写した写真もある。
1960年代以降では、初めて見るフランス人作家も多い。もっともそれほど強く「フランス」を感じさせるわけではない。もっとも現代美術ではどの国であれ、「国」を感じさせる作家は少ないのだが。
*地下から一階へ上がるエスカレーターの昇り口に隣の会場を覗ける窓があり、国安氏の作品が見える。案内の女性に「いいアイディアですね」と話すと「作っている過程が見えたんですよ」と。そう、国安の作品は作っている最中こそが「芸術」なのだ。
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