mixiユーザー(id:2391655)

2015年08月02日20:48

266 view

夢のゆめの甲子園〜17〜エピローグ

大阪の代表が決まって甲子園出場49代表が決まった。

この49校はそのほとんどがすでに彼らの目標を達成している。もちろん最終目標は全国制覇であって、それができなければ甲子園出場などは予選の1回戦で負けるのと同じくらい意味のないものだというチームもあるかもしれないが・・・・・

でも、全国制覇を目標に掲げるチームであってもそこまで言い切れるチームはあるまい。それより、実際に全国制覇をまともに狙っていて、甲子園に出場してくればダントツの優勝候補でありながら地方予選で敗れ去ったチームのほうがたくさんあるくらいだ。

だから、この49校には日本中の高校野球の成功者の代表として堂々と戦ってほしい。敗れた高校の分までなんて思う必要はまったくない。

そして、地方予選で戦い敗れ去ったチーム。この中にも成功者はたくさんいる。学校史上最高の成績を残したチーム。何十年ぶりに勝利したチーム・・・・

もちろん本気で甲子園出場を目指しながら悔しい敗戦を味わったチームもあるが・・・・


ボクは予選が好きだ。千葉県の場合は試合に敗れたチームのほとんどは球場の外で整列し応援してくれた仲間やクラスメイト、応援団、チアリーダー、吹奏楽部の生徒、保護者、OBなどに挨拶をする。

思ったような成績が残せず泣きながらも気丈に話すキャプテンもいる。予想以上の成績にこれで終わってしまうことへの寂しさと満足感が入り混じった挨拶をする選手もいる。

大事な場面でエラーをしてしまった選手も、一度も公式戦に出ることのなかった選手も・・・・・


野球強豪チーム、普通の公立高校、いろいろな立場でこの大会に臨み最後には燃え尽きた選手たちは、みんな最後にはこのチームで戦えたことを誇りに思うと述べるのだ。

選手だけではない。毎朝早くから大量のお弁当を作り、夜遅くまで洗濯をしたお母さん。試合になればおそろいのTシャツを着て応援に駆けつける。合宿や遠征の費用、野球道具の購入費、お金だってバカにならない。

両親に感謝の言葉をかける選手に対して、そのほとんどのお母さんはこう答える。

「私だって楽しかったよ」

断っておくがこれらは甲子園に手が届くようなチームではない・・・・

1つか2つ勝てばいいというような高校がたまたまベスト16に進んだとか・・・・

とても勝ち目がないと思っていたシード校を相手にあと一歩というところまで追い詰めたとか・・・・・

どこの大会で見かける珍しくもない普通のシーンだ。

一生懸命頑張った選手、一生懸命頑張る子供を一生懸命応援した母親。


一生懸命やることは尊いなどと立派な言葉をかけるつもりはない。ただ、これだけは言える。一生懸命やることは何よりも楽しいんだ。

仲間と必死にボールを追い、お母さんも寝る間を惜しんで支援した。あの年の夏は楽しかった。みんな必ずそう言うはずだ。あの燃え尽きた夏・・・・・


49校の成功者を除いて、もう3年生の8割以上はこれから本気で野球をやることはないだろう。大学に入ったり就職をしたりして、これからは少しだけ野球のうまい普通の人として生きていくはずだ。

でも、あの夏、学校が一体になったあの夏、お父さんもお母さんも兄弟も夢中になったあの夏、苦しくて、もうやめたくて、それでも楽しかったあの夏・・・・・

永遠のあの夏・・・・・

また、来年、さらにたくましくなった今の2年生たちに会いにボクは球場に脚を運ぶだろう。

さらば、今年の夏・・・・・・
3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2015年08月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031