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2015年07月16日21:57

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平山優氏と藤本正行氏の論争を紹介

雑誌「甲斐」の136号に、郷土の本の紹介として、「長篠合戦に関する平山氏、藤本氏の著作紹介」というタイトルの文章を掲載した。ポイントは、平山氏の論の記述の仕方には問題が多い、ということだ。発刊早々、知人から「感激した。自分も平山氏に、根拠のない批判を受けた」という連絡をいただいた。

<以下、冒頭と数か所を抜粋します>
2014年、平山優が「長篠合戦と武田勝頼」「検証長篠合戦」という二著をいずれも吉川弘文館から上梓した。そしてこの二著について再検討したというのが、2015年、藤本正行の「再検証長篠合戦」(洋泉社)である。

稿者(石川)は中世史を専門にしておらず、従来の研究をきちんと把握していないので、詳細な点において論の妥当性を判断する立場にないが、(平山二著は)よく長篠の戦いを捉えていると思うし、勝頼の評価についてもうなずける点が多い。
しかし、二著を通して、気になる点は二つあった。一つは「極めて」「まったく」といった強調語句の多用だ(枚挙にいとまがないが、一例を挙げると「敗者」の一三三ページには、十行の段落の中に「明確に」「殆ど」「〜に過ぎない」「もちろん」「まったく」と頻出する)。 
もう一つの気になる点は、先行研究への言及の仕方だ。二著を通じて読むと、個々の論点において、過去の研究内容を批判するという形で自説を述べることが多く、その際に攻撃的な口吻を感じる場合がある。

引用の不正確さや出典の未記載、藤本や鈴木への的外れな批判などは、平山の責任であるが、編集者も気づくべき事項であろう。吉川弘文館という老舗もこの程度なのか、という失望を感じた。

藤本の指摘は有用であり、読んでいて目を開かせられるものだが、一冊の本として1800円で売るのはいかがかと思う。前向きな研究を期待した読者には、気の毒な出費と時間ではなかったか。

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