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2015年02月26日10:06

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フォルムの実際 19世紀 オシュデ4姉妹

フォルムの実際 19世紀 オシュデ4姉妹
 モネがアリス・オシュデと出会った時には、すでに4人の娘と息子1人がいた。その後末っ子のジャン-ピエールが誕生する。自分の息子2人も加わって大家族になるのだが、モネは全ての子供達を分け隔てなく愛していた。4姉妹の中でも、絵画と関係するのが、次女のブランシュと3女のシュザンヌだ。4姉妹と言うと細雪を連想する人もいるだろうが、3女シュザンヌは同じく細雪に登場する3女の雪子にあたる。ブランシュは自身が絵を描くのが好きで後に女流画家になっていく。モネが写生に出かける時には画材を持ってモネの後を付いて行ってモネの隣にイーゼルを立て、自分も絵を描いていた。その姿をモネも描いている。オシュデ4姉妹の中で、ブランシュが最もモネと長く関わる事になる。ブランシュは後にモネの長男であるジャンと結婚し、ジャンが若くして他界すると、モネ家に帰って来て、その後は、眼の悪くなった年老いたモネを死ぬまで介護し続けている。ブランシュは、モネを父として画家として心の底から尊敬していたのだろう。3女のシュザンヌはモネお気に入りのモデルになる。モネは家族を良く描くのだが、妻になるアリスは、絵のモデルになるのを好まず、アリスがモデルのモネ作品は非常に少ない。1885年頃に29歳になるサージェントがモネを尋ねてきてモネが写生している姿を絵に描いているが、モネの後ろにいる女性は、ブランシュかシュザンヌだろう。シュザンヌは、絵になる女性であったようで、ジヴェルニーにやって来ていたアメリカ人画家達もシュザンヌを描いている。美術モデルは、ファッションモデルと違って自然な佇まいが重要になる。それでいて姿が美しくある必要があり、画家は、そう言った女性を好んで描く傾向がある。1886年にモネが描いた、日傘をさす女のモデルもシュザンヌだった。カミーユのお気に入りだった緑の日傘、白いドレス、そして腰に付けた絹でできた赤いひなげしのコサージュと、この作品がカミーユへの追悼の意味があった事は疑いようがない。最初に描いた日傘の女には、妻のカミーユと息子のジャン、そして2人を見つめるモネまでもが存在するかのように愛し合う家族が描かれていたが、そんな人としての息づかいは、新しく描いた日傘の女には描かれていない。家族愛は、絵画のテーマとしては表層過ぎると感じるかどうかは難しいところだが、そう言う絵画に共感する人達も大勢いる事も確かだろう。大衆化の中での共鳴だ。カミーユの死とともにモネの絵画から、それまで指摘されていた甘さが消えていく。絵画作品として昇華していく中で、甘酸っぱい思いは未熟とも取られてしまうのだろう。実は、こう言った甘酸っぱい、ちょっとおもばゆくなってしまうようなロマンチックな絵画は、結構あるのだが、専門家の先生達は、あまり評価したがらない。だが、こういうタイプの絵画があってもいいのではないかとは思う。モネの絵画も、1870年代までと1880年代以降では大きく変わっていく。1880年代までのモネの絵画が好きだと言う気持ちは素直な気持ちなのだろうと思う。1870年代までのモネの作品には生々しい人間の感情がそのままに描かれているが、1880年以降は、それが作品表現へと変わっていく。それは画家の成長でもあるのだが、奥底に沈んでいった感情は、また別の姿となって表出するようになる。シュザンヌをモデルに日傘の女を描いて以降、モネは、オシュデ姉妹をモデルに多くの作品を描くようになっていく。ボートに乗ったオシュデ姉妹の絵画が有名だ。このボート遊びシリーズは、当時の流行のようで、多くの画家がいろんなシチュエーションでボートに乗った女性を描いている。よくこの時期のモネの作品は人物を風景の中に溶け込ませるように描いていると言われる。モネ自身がそう言う意図で描いていると説明しているのだが、実際には、そう言う意図だけで描かれた作品だけではない。明らかな人物画も存在する。それが、画像で紹介するシュザンヌをモデルにした絵画だ。こう言う絵も描いていたのか、とちょっと不思議に思うかも知れない。公開はされなかった作品のようだ。
画像は、左から、モネ一家の家族写真、向かって左上、あご髭のおじさんがモネ。その横にちょこんと座っているのが次女ブランシュ、隣が夫となるジャンだ。手前向かって右端が3女シュザンヌ、その横が長女マルト、2人の後ろにいるのが4女のジェルメーヌ。
中の画像が、オシュデ姉妹をモデルにしたボートシリーズ。
右の画像が、庭で裁縫をするシュザンヌを描いたモネのポートレート。この作品は素晴らしい。人物画としても傑作ではないかと思う。








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