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2014年12月31日06:01

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歌って物語るだけではミュージカルとして成立しない。「サンシャイン♪ 歌声が響く街」(2013)。

この映画は同名の舞台ミュージカルを映画化したそうです。しかしこの映画を見る限り、残念ながらミュージカルとして成立していない、というか面白くありません。それと僕は5回以上この映画の予告編を見てしまっていたことも、この映画の印象を悪くしました。

物語は、アフガニスタンへの派兵を終えた2人の兵士デイビー(ジョージ・マッケイ)とアリー(ケビン・ガスリー)が故郷であるスコットランドのリースという町に戻ってくるところから始まります。アリーはデイビーの妹リズ(フレイア・メイヴァー)の恋人で、リズは兄のために同僚イボンヌ(アントニア・トーマス)を紹介します。そして兄妹の両親(ピーター・ミュランとジェーン・ホロックス)は銀婚式を迎える、という展開。

戦地に出た3人の若者が帰郷し、一人が両足を無くすという大けがを負っているという設定そのものに不満はありません。しかし彼らの心の中を描かず、いきなり歌で説明してしまうという滑り出しで、僕は不満を覚え、それが次々と拡大される中で結末を迎えてしまいました。夫婦に危機が訪れるという展開も、夫が言うには“一夜の過ち”で、その話を聞くまでベタベタに愛していた妻が手のひらを返したように別れると騒ぎます。あるいはアリーの芝居じみた求婚に対し、リズが“突然すぎる”と拒絶するとか、うまくいっていたはずのイボンヌとデイビーも、しょーもないいさかいから亀裂が走るなど、物語の展開上そうなりますので、という作り手の都合だけが先行し、ドラマとしての説得力がついてこないのです。

これはひとえに、それぞれのミュージカル・ナンバーが盛り上がらないことに起因していると僕は思います。僕が知っている成功したアメリカ映画のミュージカルでは、とにかくドラマが盛り上がったところで歌へとスムーズに移行し、ドラマの高揚をさらに昇華してくれました。それらが相乗効果となり、エンディングに爆発する、というのが僕の理想の展開です。

ところが最近ミュージカルと称せられている作品は、最後にようやく耳なじんだ曲が流れる程度で、それまでの歌が芳しくないものが多い。例外は既成曲を使った「マンマ・ミーア」ぐらいでしょう。スティーブ・マーティンとゴールディ・ホーンから寸借詐欺をした高名な作曲家の場合など、主題歌一発しか聴くべき曲がないという体たらく。←映画の中の話ですよ、寸借詐欺は。題名忘れてしまったけど。

ということで、だらけた気分で半ばごろまで見て、これはヤバいと感じたのです。つまり、予告編で繰り返し見せられたあの曲はラストに登場するのだと気づいたしだい。案の定、そのとおりになってしまったから、僕は犯人を教えられてミステリーを読んだような気分になってしまった。そうなると邦題のように“♪”がついたるんるん気分は雲散霧消です。そこしか売りがないとしても、それを先に見せちゃあかんでしょ。

ジョージ・マッケイ(写真2)って見た顔だと思ったら、シアーシャ・ローナンと「わたしは生きていける」に出ていた男なんですね。まだあっちの方がシアーシャ・ローナンだからマシだった。ピーター・ミュランは「戦火の馬」? 知らん知らん、あんなん見たらへん。イボンヌ役のアントニア・トーマス(写真2)は僕的には合格ですが、次回作に期待ですな。という程度の作品でした。
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