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2014年12月13日13:13

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公開時に劇場で見ておきたかった1本。フィリップ・カウフマン監督「ミネソタ大強盗団」(1972)。

NHK−BSで見ました。ハイビジョン放送ですが、ここ1〜2年の圧倒的なハイビジョン画質になじんでいると、この画質にはとまどいます。もしかしたら525の素材からのアップコンバートか?と思うほど。しかし、ここ20年間には放送がなかったと思うので、それは気のせいでしょう。つまり1970年代のレンズの解像度と、自然光を中心に撮影し増感するという、あの時代の(つまりアメリカン・ニューシネマの)撮影手法のせいだと僕には思えました。

物語は、ジェシー・ジェームズ(ロバート・デュバル)とフランク・ジェームズ(ジョン・ピアース)の兄弟が、行動を共にしていたコール・ヤンガー(クリフ・ロバートソン)らヤンガー兄弟たちと、南北戦争の意識を引きずったままの戦い(これを合衆国政府は強盗とみなします)を続けている、というもの。ヤンガー兄弟には、ジム(ルーク・アスキュー)とボブ(マット・クラーク、写真2)がおり、ボブはジェームズ兄弟と行動している。そしてコール・ヤンガーはジェシー・ジェームズと対立しているという関係。

とにかく上映時間が91分と潔く、ノースフィールドという町での銀行強盗がクライマックスをじっくり見せます。そしてそれまで一行が出会った人々とのスケッチが、設定した時代を感じさせる。実際には知らないけど、そうだろうと感じてしまう説得力がいいのです。このころ野球が始まったばかりで、1イニングが3アウトでは終わらないから、天文学的なスコアになっていたり、守備陣がグラブを使っていないというあたり興味深い。この映画では、塁間にいる走者を野手がボールを当ててアウトにするという規則がなかったようですが、あれはメジャーリーグが始まってからのルールなんでしょうか。ベーブ・ルースの時代ぐらいに撤廃されていますけど。

銀行員役でエリシャ・クック・ジュニア(写真3)が出ています。「シェーン」でジャック・パランスに殺された農民です。そして息子を戦争で亡くして気がふれた父親役でロイヤル・ダノ。コール・ヤンガーの求めに応じて合流する農夫がR・G・アームストロング。このあたりは僕たちにとって“傍役スター”でした。ノースフィールドの町民としてダナ・エルカーやドナルド・モファットがいて、まさに“傍役グラフィティ”そのものという感じ。

そして娼館ケイトの家のケイトを演じているのが、「グループ」のメアリー・ロビン・レッド。なつかしいなぁ。娼婦役でスタントも担当しているステファニー・エッパーが顔を見せていたようです。「ロマンシング・ストーン」でキャスリーン・ターナーのダブルを担当したジニー・エッパーの妹で、スタントマン一家です。だから兄のトニーも顔を見せている。

強盗団を、犯罪者と描いていないところがこの映画のポイントです。ミズーリ州議会が恩赦を検討したという事実もあり、彼らの行動は戦後のゲリラ活動か、義賊として受け入れられた部分がある。1973年のヨーロッパから始まった長期不況により、アメリカでは鉄道会社などが自社の利益のために庶民をないがしろにしました。だから庶民の観点からすると、この連中は“味方”あるいは“自身のかなわぬ夢の代行者”だったと思います。

2070年ごろになって、連合赤軍の連中をジェームズ兄弟やヤンガー兄弟たちのように描く映画が出てこないものか、僕はひそかに期待するのでした。
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