正午を過ぎた頃から雲行きが怪しくなって、雨が落ちてきた。小雨はたちまちのうちに大粒の雨に変わり、まるで嵐の様相を呈して始めた。真冬に西の方角から台風がやって来た。台風みたいだから2時間も経てばからっと晴れるに違いない、と思っていたら、予想が的中して、日が沈む前に晴れ間が見えた。しばし幸福感に似た暖かい気持ちになる。宇野千代さんの信条にしてエッセイ集のタイトルにもなった「私、何だか死なないような気がするんですよ」という思いは、案外といまみたいな気分を表しているんじゃないかな、と思う。それは確信的な自己肯定と矜恃だ。私は両者ともに乏しくて懐疑的な人間だし、常に健康不安がつきまとっているので長生き出来るとはまったく思えないのだが、宇野さんのような楽天家に少しでもなれたらいいな。
今日は、今年初めての銀行。キャンペーン定期の案内を受けていたので、大した額ではないが手続きをした。1カ月間だけだが10パーセントの利率になるらしい。1億円をそのキャンペーン定期にしたら100万円か、と自分の預けた金額より2桁も多い額でシミュレーションして遊んでみた。
自分の名前を入れこんだ経済政策・アベノミクスで時の首相は悦に入っているが、GDPの増加を唯一の指標にする経済政策からしたら金のある企業と個人の資産を増加させて帳尻合わせとするのだろう。バブル時代の中流暮らしを知っている者としては、一般国民の金銭感覚や消費力がいまの時代とは桁外れ(というか箍が外れたようなものだが)に強くて、新車を3年ごとに乗り替えたり2万円近いYシャツが飛ぶように売れていた世相をよく覚えている。が、もし経産省の統計を信じるならバブル時代よりこの時代のほうが1人あたりのGDPは5割高くなっている。が、大多数の国民はこの20年で5割くらい生活が豊かになった、とはとてもじゃないけど実感出来ていないはずだ。分析はシビアで解説は易しい経済学者に、この矛盾を解いて欲しいものだ。ピケティの大著を読むのが面倒だから。
夜の7時、NTTから勧誘電話があった。「フレッツ・ミルエネ」のキャンペーンをやっている、いまなら工事などの費用は無料なので、いかがですか、みたいな内容。先月、メールでも届いていたので驚きもしなかったが、念のために訊いてみたらNTT東の人間が直接、各戸に営業電話を掛けているらしい。たいへんだなぁ、と気の毒になったのと、自宅の電気がどんなふうに使われているのか視認出来るのも悪くないと考えて、「じゃあやりますよ」と承諾した。これが意外と、月々200円の少額振り込め詐欺だったりして。あるいは、安倍の悪口を言っていないかを探る盗聴制度だったりして。後者については、この先安倍政権が長らく続くならあり得るかもしれない。
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