トローニーの描き方
フェルメールの真珠の耳飾りの少女が、トローニーだと言われている。トローニーは、作者が作り出したキャラを描く絵画で、漫画やアニメでは、普通のやり方。モデルを見ないで描くというのも、漫画の場合、普通。油彩画の場合は、モデルがいるかのごとくリアルに描くところがミソ。フェルメールの少女も、モデルは誰か、と探す専門家も多かった。結局特定できず、トローニーの可能性が高まった。という経緯。で、このトローニーの描き方だが、ある種の能力があると、普通に描くことができる。何度か紹介している、モデルを見て、覚えて、見ないで描くという描き方、これを続けていると、見たこともないモデルを描けるようになる。そんな絵が、実は、絵画には、たくさんある。例えばキリストを描いた宗教画。画家の誰も、キリストもマリアも見たことはない。モデルもいない。では、画家は、一体どうやって描いていたのか、想像で描いていたのだ。頭でイメージを作り、それを絵にしていた。もちろん、資料は、集めただろう。この辺りは、漫画やアニメと一緒。当時も衣装を着せて、モデルにポーズをしてもらって、顔だけ入れ替える、とか、これも、王族の肖像画の時に紹介したやり方だ。王様が、画家のために長時間ポーズを取ってくれることはない。顔だけサッサッとデッサンして、衣装などは、マネキンに着せた。衣服の細かな所は、そうやって描いていた。体格が似ている影武者もいたので、彼らがポーズを取ることもあったろう。それと、子供。子供も、ほぼ、想像。写真が普及し始めると、画家が写真を大いに利用したのも、分かると思う。モデルとしてポーズを長く取ってもらう代わりに、写真を撮影。これらのやり方を組み合わせて、トローニーを仕上げていた訳だ。トローニーで、最も重要なポイントは、人物の表情。これは、モデルにも出せない、画家のオリジナルだ。ここに、トローニーの成否がかかっている。真珠の耳飾りの少女は、本当に魅力的な表情をしている。振り向いた瞬間を描いているともいわれるが、これは、モデルを使っては描けない部分だ。画家が想像の人物像を描いている絵画は、本当に多い。それを可能にするために、見る、覚える、見ないで描く、という訓練を繰り返したのだろう。
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