「皆さん、立ち上がっての応援、よろしくお願いします」「精いっぱいの手拍子をお願いします」応援の女子チアの澄んだ声が球場内に響き渡る。
1回戦で昨年の優勝チームのHondaに勝ち、2回戦では最終回に4点差逆転サヨナラ勝ちを演じたJR東日本東北の応援団はまだ勝利を信じていた。
得点は7−2。9回の表、JR東日本東北の最後の攻撃。2回戦での逆転劇を目の当たりにした人からすれば逆転サヨナラを当然期待する。夢を再び・・・・
そして先頭の石井君が内野ゴロエラーで出塁。盛り上がる1塁側JR東北応援団。しかしセガサミーの陶久君が踏ん張って2死をとり、最後は石塚君が三振を奪って7−2で試合を決めた。
しかし互いにこの試合で放った安打はたったの4本ずつだ。
JR東北は3回小山君の安打をきっかけに2死3塁とチャンスを広げ菅野君のタイムリーで幸先よく先制した。だが、その裏JR東北の西村君は突然崩れた。1死から連続四球にエラーで満塁。その後死球で押し出しのあと市根井君の犠飛で逆転した。
2−1と逆転されたが2死1・2塁。ここでJR東北は踏ん張り切れなかったのが大きかった。セガサミーの金管楽器の応援がものすごい迫力でグランドに迫ってくるなかで森君の内野安打で再び満塁とされると中川君にはバックスクリーンまで運ばれた。6−1・・・
ただ、ここまでの両チームの安打数は3本ずつ。JR東北の失点は6だが、自責点は1だ。そしてその後互いにソロ本塁打を1本ずつ放ってスコアは7−2で試合は決着した。チーム自責点では2−1でJR東北が勝っているのだから内容だけを見れば互角。だが、この試合でのJR東北のエラーは1、与四死球はセガサミーの2に対して7だった。
奇跡を起こした2回戦は14本の安打を放ったJR東北に対してNTT西は13本と互角で互いに無失策。しかし与四死球はJR東北が1だったのに対してNTT西が7だった。
あの2回戦は奇跡だったのか。5点を奪って劇的な逆転サヨナラを演じたJR東北の最終回の攻撃は4本の安打だけではなく3つの四死球を得ていたことを忘れてはいけない。
もしかしたらあの2回戦は奇跡ではなく、今日の敗戦と同様必然だったのかもしれない。勝ちに不思議は勝ちあり、負けに不思議な負けなし。野村さんの言葉を思い出した試合だった。
2021年12月6日 第92回都市対抗野球 準々決勝(於 東京ドーム)
JR東日本東北
001 100 000 = 2
006 010 00x = 7
セガサミー
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