mixiユーザー(id:2083345)

2018年11月03日17:50

522 view

11/2 生誕110年東山魁夷展@国立新美術館

国立新美術館は平日にもかかわらず結構な人がいました。よくよく見ると賑わっているのが日展、その次が東山魁夷展、そしてシーンとしているのがボナール展。私は、ボナール大好き。色も猫も好きなんです。それから東山魁夷、私が一番最初に触れた日本画家ですから大回顧展となれば見に行かないわけがありません。まして唐招提寺の障壁画を全部展示というから楽しみ。珍しく前売り共通チケットをネット購入。1枚あたり1100円になるので金券ショップより安いはず。

さて、せっかく平日昼間に来たわけだから東山魁夷を見ることにしました。なぜなら、次来るのは多分休日、さらに混んでいるのが予想されるので。
東山魁夷は国民的画家なので、普段美術館に来ないような人が多い感じです。音声ガイドの絵の前では人だかり、見ている前を平気で横切る人も多数、でも1点1点が大きいのでストレスはあまり感じませんでした。
絵の横のキャプションの字が小さめなのが難点。高齢者が多いのです。よく読めない。
障壁画はそのままの形で再現してあったので圧巻。新美術館は天井が高いのでむしろ小さく見えます。「小さい、複製かぁ?」と早足に行く人がいてびっくり。

東山魁夷の絵は小学生の時初めて父に見せてもらい、その美しさにいっぺんに好きになりました。私の名前の由来が代表作「道」にあると聞いて、ますます好きに。10代、20代の頃は百貨店などでも展覧会があったので繰り返し見に行きました。また、信濃美術館の別館東山魁夷館もオープンしてすぐに行きました。撮影によく行く場所の近くにも東山魁夷記念館があって行きました。
奥村土牛はご自分を不器用なのでより精進しなければ、と遅咲きながら人柄が滲み出たいい絵を描かれます。東山魁夷も晩年まで自分は絵が下手だと思い込んでいらしたようです。謙虚、実直、努力の人。絵に人柄が表れるんですねぇ。
一時は美しいばかりの絵に物足りなさを感じて見ない時期もありましたが、やっぱりいいものはいい。この歳になってまた素直な気持ちで見られるようになりました。
フォト
http://kaii2018.exhn.jp/
東山魁夷は、清澄で深い情感をたたえた風景画により、戦後の日本画の世界に大きな足跡を残しました。
自然と真摯に向き合い、思索を重ねながらつくりあげたその芸術世界は、日本人の自然観や心情までも反映した普遍性を有するものとして評価されています。
明治41年(1908)、横浜に生まれた東山魁夷は、東京美術学校を卒業し、ドイツ留学の後、太平洋戦争への応召、肉親の相次ぐ死といった試練に見舞われますが、そうした苦難のなか風景の美しさに開眼し、戦後はおもに日展を舞台に「残照」や「道」といった風景画の名作を数多く発表しました。
本展は生誕110年を記念し、戦後の日本を代表する国民的画家と謳われた東山魁夷の画業を代表作でたどるとともに、東山芸術の記念碑的大作「唐招提寺御影堂障壁画」が特別出品されます。
東京では10年ぶり、京都では30年ぶりに開催される本格的な回顧展となります。

1章 国民的風景画家
2章 北欧を描く
3章 古都を描く・京都
4章 古都を描く・ドイツ、オーストリア
5章 唐招提寺御影堂障壁画 間奏 白い馬の見える風景
6章 心を写す風景画

《残照》フォト
1章では、近美の常設でおなじみの大作がズラーッと並ぶ。今近美には東山魁夷の絵がないのでは?と言うくらい。

《月宵》フォト
それにしても色のグラデーションが美しい。特に青や緑系の作品は、ポストカードの色が実物と違って、いつも買うのを悩むのが東山魁夷だったっけ。

《自然と形象 雪の谷間》フォト
《たにま》フォト
上が昭和16年、下は28年。物の形が整理、簡略化され、琳派の如し。比べて見ると面白い。

《木霊》フォト 
昭和30年に入ると線が直線的になる。枝に当たる光の強弱が描きわけられていて美しい。

《青響》フォト
枝の葉のひと房ずつがカクカクしている。青銅器の饕餮文の美を意識していたと初めて知った。

《映象》フォト 
北欧旅行、スエーデンの風景。実際の木立と水面に鏡のように逆さに映る木立が画面を半分に分け、北欧特有の自然の厳しさ、美しさを表しているこの構図は代表的。

《冬華》フォト
薄ぼんやりの太陽を取り囲む輪が微妙に虹色であること、光線が放射線状に伸びていること、実物の絵を見て初めてわかる。美しい。
東山魁夷の絵には中央に大きな樹がすっくと立っているものが多いように思う。ご自身の気持ちなのかな。

《京洛四季習作 年暮る》フォト
このシリーズは小品が続き、前期後期の入れ替えもある。図録を見て場所(寺など)を確認。
この本画が山種にある。

《京洛四季スケッチ 雪降る町》フォト
これもまた《年暮る》と同じ時の別角度のものかな。

《晩鐘》フォト
ドイツ、オーストリア旅行。建物の景色もまた東山流に美しい。透かし彫りの屋根の綺麗な塔だ。鈍色の空もいいなぁ。

《白馬の森》フォト
唐招提寺障壁画制作の依頼を受諾した頃、昭和47年のこの1年だけ白馬のいる風景を描いた。白馬は東山魁夷の「祈り」だそうだ。青の森の中に佇む白馬は尻尾の先や蹄が消え入りそうで夢幻のよう。発表当時中学生だった私は夢中になった。

《緑響く》フォト
これもまた発表当時大好きだった作品だが、パリ個展で行方不明になり、昭和57年に再制作したそうだ。

《唐招提寺御影堂障壁画 濤声》
フォト フォト
《同 山雲》
フォト フォト
やはり東山魁夷の青は最高だった。特に山雲の青から白への霧のグラデーションが美しい。床の間の引き戸にはホトトギス。鑑真和上に囀りを聞かせたいと。
中国の風景〜黄山、揚州、桂林〜は水墨画。それもいいけれど、やっぱり色があった方が好き。

《瑞光 試作》フォト
お厨子の鑑真和上の背景の絵はさすがにもってこられなかった。
フォト

《白い朝》フォト
晩年の作品は、場所を特定する必要のない精神世界。

《行く秋》フォト
画像だとわかりづらいが、落ち葉に金砂子が撒かれていた。でも、派手に見えず抑えた感じなのは東山魁夷の絵の特徴の静謐さゆえ。

《夕星》フォト
絶筆。リリカルすぎるきらいもないが、これが絶筆だと思うとなんとなくジーン。

12月3日まで。

19 8

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2018年11月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930