mixiユーザー(id:2716109)

2014年11月18日23:41

425 view

本棚80『高倉健インタヴューズ』(プレジデント社)

 本棚37で、『あなたに褒められたくて』という高倉健の初めてのエッセイ集を紹介した時、山田洋次監督との以下のやりとりを取り上げた。

 「愛するということは、
  その人と自分の人生をいとおしく想い、
  大切にしていくことだと思います」
  『幸福の黄色いハンカチ』の北海道ロケ中に、ぼくが、
  山田洋次監督に、愛するということはどういうことでしょうかと、
  その質問に対する答えでした。

 高倉健の訃報に接して、標題のインタビュー集を読み返していたら、偶然にも同じように、山田洋次監督との思い出を語っている場面に出会った。

 「映画の撮影中、山田洋次監督に「芸術というものは、どういったものだと思われますか」と質問したことがありました。監督はこう答えてくれました。「何度見ても聞いても飽きがこない。それだけでなく、それに接した人が、自分も自分の世界で頑張らなきゃいけないと励まされるようなものが、芸術ではないでしょうか」と。」

 答えることの難しい質問に対して、真摯に、(しかも二度までも)答えようとする姿をほほえましく思うとともに、自分にとって、「幸福の黄色いハンカチ」や「あ・うん」、「遥かなる山の呼び声」などの高倉健の数多くの作品は、何度も繰り返し繰り返し観て、その度に元気をもらった、真の「芸術」だと思った。

 訃報について様々な報道がなされているが、以下の毎日新聞の文章に、ふと涙した。
「健さん」の映画は、順風満帆の時よりも、困難で苦しい時、吹雪の中でじっと遠い春を想うような時に、心に染み入ってくるのではないだろうか。

「武骨で口数は少ないが、人の情を大事にする素朴な男。「幸福の黄色いハンカチ」はその頂点の作品といっていいだろう。愚直なまでのきまじめさ、人生を常に遠回りしてしまい、必死に生きていても損な役回りになってしまう男の姿に、観客は共感と人生のつらさ、悲しみを感じた。」
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2014年11月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30