またひとつ年を取って、本当の年寄りになりつつある

　数日間、日記から離れている間に誕生日を迎え、1つ歳をとった。季節が夏から秋へと模様替えした。寿命が定められてはいるわけではないし、ただの通過点でしかないので、別になんとも思わない。しかし、アンケートなどで年齢を書かされる場合、多少なりとも苦痛度が増すだろう。
　誕生日の前日、晩ごはんを食べ終わったあと、クルマで会社員時代の先輩宅へ行って、銀杏を渡した。
　誕生日は何通かメッセージをいただいた程度で、ケーキ一個食べるわけでもなく、365日分の1日でしかなかった。
　誕生日の翌日、つまり昨日の日曜日は朝９時からいつもどおりに「日曜美術館」を見て、野見山暁治画伯の生涯に敬意を払った。目を惹いたのは彼の絵ではなく、原稿用紙に万年筆で綴られた文章で、自分はほぼ万年筆を使わないため、野見山画伯の筆致に魅力を感じた。
　夜、アジア大会のサッカー北朝鮮戦をテレビ観戦。北朝鮮チームは組織的な守備を徹底しておこなっていて、日本チームの長所をことごとく消していた。一対一のデュエルでも北朝鮮のほうが勝っていた。先取点を取ったのは日本だったが、北朝鮮はいったん追いついて、１対１となる。
　で、北朝鮮のキーパーが日本のMFを倒してPKを得るのだが、問題のシーンをよく見るとPKではないような……(苦笑)。
　案の定、タイムアップを迎えると北朝鮮の選手らが審判に激しく詰め寄って猛抗議だ。興奮している選手たちをたぶん北朝鮮チームのスタッフがこれまた必死に止めようとしている映像の前に、名も知らぬ素人タレントみたいなレポーターが「日本、やりましたね」などとボケたコメントを述べ、私は北朝鮮選手とスタッフの動静が気になって仕方ない。が、映像はスタジオに切り替わり、その後どれくらい北朝鮮選手たちが暴力をふるったのか、あるいは試合終了後のルーティン（両国の選手が握手を交わす）はわからずじまい。
　大きな国際大会で毎回、不愉快に思うことだが、人気芸能人だとかおちゃらけた元スポーツ選手を出して試合の臨場感を削ぐような番組作りはいい加減やめてんか。
　アジア大会は中国大会のようなもので、私は基本、興味はない。
　が、中国がフクシマの「汚染水」放出に国を挙げて異議を唱えていることに、日本は「科学的根拠に基づいた処理だ」という一枚岩的な中国批判は度が過ぎている。
　汚染水が放出されるわずか一週間前、アメリカ・ニューヨークのハドソン川沿いにあるインディアンポイント原発が廃炉作業に伴い、日本同様、放射脳物質を含む処理水を放出することに住民が猛反発をして、知事が裁定することになった。
「ハドソン川は自然の宝庫である。川を守るため、排出を許可しない」
　これが知事の結論で、朝日のベタ記事では「福島第一原発の処理水の海洋放出を進めてきた人たちからすれば、ニューヨーク州の状況も非科学的と映るのだろうか」と書かれている。このニュース、民放のニュース番組でもネットニュースでもいっさいなかったのだが、どうなってる？
　国論はひとつではない。私は汚染水の放出を認めていないという点で中国政府と同じ立場だ。しかし非国民呼ばわりをされる覚えはない。放出賛成派こそが日本をどんどんと劣化させる非国民である。