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2023年05月04日20:25

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取らぬ狸の一千万円

 昨日、久しぶりの上京。マイミクでもある友人と出版社にて合流、いまは後進に道を譲った元シャチョーにランチをたかるという目的だった。元シャチョーと会うのも、友人と話すのも久方ぶりなので、ワクワク感いっぱいで横須賀線上りに乗車した。渋谷から半蔵門線で神保町へ。
 4月10日に元シャチョー宛てで池田満寿夫のアトリエで発見したスケッチを送った。池田のエロティシズム溢れる女性イラストに魅了され、これをなんとか世に出せないものかと思った私は、衝動的に現地から池田のイラスト数点の画像を送りつけたわけだ。
 が、冷静に考えると、そう単純に事が運ぶとも思えない。
 出版とは切り離しても池田満寿夫のアトリエを訪ねることを決めている。で、今度は冷静にアトリエや遺されたスケッチブックを見て、たっぷりと写真にも収めてから、あらためて考えよう。
 しかし、私は単細胞な性格なので(事実、脳細胞は100個ほどしか機能していない)、やはり口ガ勝手に池田満寿夫の魅力を語るのであった。
 
 挨拶程度の会話を交わしたあと、3人で神保町駅の交叉点まで行き、ランチをとることにした。元シャチョーが上海蟹を食わせる高級中華へと我々ビンボー老年書生を案内するも、そのレストランはあいにくお休みだったので、偶然見つけた別の中華料理店「上海庭」へ。なんだかエキゾチズム溢れる雰囲気の中華レストランで、働いている店員さんも中国人だったし、料理も上海とまったく同じ味だった(上海に行ったことはないが)。
 で、ふたたび社に戻って、今度はもう少し落ち着いて会話をし始めた。
 池田満寿夫関連で言えば、元シャチョーが妙な秘密話を語り出した。
 まだ池田が食えない時代、彼は春画を描いて某出版社に持ち込んだと言う。60年代か70年頃だ。が、その版元は池田の春画を預かったものの、それをお金持ちに売りつけるとか本にすることなく、さらに預かった春画はそのまま手許に残している、と。
 真偽は不明だ。が、元シャチョーはとぼけて私を煽っているのか、それともほぼ精度100パーセントの事実だと受け取って話をしているのかわからぬが、その版元代表の娘さんの実名を挙げ、「大塚でアパートを経営しているのだが、そこに彼女も住んでいるらしい」などと私を煽る。すると目ざとい友人がiPhoneでそのアパートの住所を探し出し、私に教えてくれた。
 その話、マジですか? かついでない? と元シャチョーにしつこく訊くも、まだ娘が持っているに違いない、と返答する。
 最低でも1千万円くらいの値打ちはあるだろう。
「娘さんのところにお邪魔して、池田の春画を見せてもらって、”これはクズでしかないですねぇ。私がお引き取りして処分しておきましょう”と言って、持ち帰ったらいい」
 元シャチョーがこう言ったので、乗りがいい私は、
「わかった、そう首尾よくいったら、情報料として5百万円はシャチョーとこの出版社に寄付し、残り5百万のうち私が4百万円をもらい、あとの百万円はアパートの住所を見つけ出したTさん(そばにいる友人)ということでいいかな?」
「いいとも!」とTさん。
 ただの冗談話だとは思うものの、これを真に受けてその娘さんにアポを取り、池田満寿夫の春画を探しにアパートを訪ねてもいいかな、と私は思い始めていた。そもそも池田の直筆の絵なりスケッチを見たいわけである。また、シャチョーに言われたとおりにその春画を持ち帰り、それを出版することができれば、なんて面白いことだろう。編集費がウン百万なんて可能性はゼロだが、画集が売れたら何十万円か懷に入るかもしれない。
 夢、というか妄想は広がる(笑)。
 本来の私は冗談ひとつ通じないくらいの朴念仁であるけれど、死期が近いことだしこの殼を破ってみるのがいいかもしれない。
 いやー、しかし「こちらで処分しますから」などと言って持ち帰るような詐術をこの小心なる私が出来るだろうか。近頃時々テレビニュースになっている悪徳廃品回収業者の手口と同じようなもんだし、マイミク作家さんのエンタメ小説に毎回出て来る悪ふざけの主人公みたいだな。
 
 帰宅途上で、とにかく娘さんに連絡を入れよう、と決めた。
 犯罪の第一歩を踏み出した(笑)。
 また、これと併行して、今月か来月、池田満寿夫のアトリエへ行くことにした。
 
 今日は午前中、2割引きセールのブックオフへ。
 単行本棚で恐ろしく美しい装幀の本を見つけた。原武史著『滝山コミューン一九七四 』。鉄オタの原先生がご自身の原点である少年時代を、一部取材を敢行しつつ書き下ろしたわたくしノンフィクションだった。数分間、立ち読みをし、あらためて装幀をためつすがめつ眺めて、このような本をわずか220円(の8掛け)で買えるとはなんて佳き日なんだ、とうち震えた。これくらい自分好みの装幀本があるのか。
 今年のゴールデンウィークは毎日が変化に富んでいて、とてもラッキー。最終日は葉山まで車検でクルマを持って行かなきゃいけないのだが、とにかく事故に気をつけなきゃな。
 
 
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