折り返しで忘れられる存在

「まただね」
「ああ、また忘れられたな」
「じゃなくて、『我々が登場を忘れた』んだよね？」
「ああそうだった。『忘れられた』なんて言うと、まるで誰かのミステイクでそうなったみてえだもんな」
「そうそう。基本三善とか全然関係ないからね、ここは」
「『俺たちは三善の日記の登場人物などでは断じてない』ってコトでよかったよな？」
「うんまあそうだけど・・・」
「『て言うか、そもそも誰よ？三善って』ってコトだよな？」
「確かにそうだけど、そこまで言うと異常なまでにわざとらしいし、やっぱこの話題は虚しくなるからやめとこう」
「ああそうだな、やめよう」
「で、もう折り返しだね」
「ああ、今日から７月だ」
「先月は空梅雨でいい塩梅だったけど、今日はよく降ってるね」
「まあ降るとき降らんと、あとが面倒だからな」
「じゃあいいか、こんな天気だけど」
「仕方ねえよな、お天道さん次第だからな」
「そうだよね、どうにもならんことはほっとくしかないよね」