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2020年11月22日09:11

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幼馴染と仮想空間の幽霊 2

生徒がちらほらいて、放課後の職員室はそれなりの活気であった。
俺と真奈はジャングルを探検する気分で奥に進む。
職員室の奥にいる歩夢先生を見つける。彼女は華麗な容姿に髪はポニーテールにまとめていた。また、彼女は三十路の独身でいかにも仕事疲れの雰囲気であった。
目的の歩夢先生に近づくとノートパソコンカタカタしていた。
「あーの……」
俺が話しかけると歩夢先生は椅子を回してこちらを正面にする。
「先生でしたね、先ほどの騒ぎに一番関わっていたのは」
言葉を選んで交渉のテーブルにつかせよとする。
歩夢先生は大きく息を吐き、机の上にあるコーヒーをすする。
「君は203ホームの『海道 武蔵』君だったな。目的はなんだ?」
それは色々認めた上での問いであった。
「純粋な好奇心です」
「まるでパンドラの箱だな……よかろう、彼女の苦しみを癒せるかもしれない」
歩夢先生は机の引き出しから鍵を取り出す。
「これは……?」
「旧美術室の鍵だ、そこに彼女はいる」
それは交渉成立であった。
「むーわたしも、わたしも!」
歩夢先生との緊張感がなくなると真奈が騒ぎ出す。
「あぁ、真奈も一緒にだ」
俺達が職員室を出ようとすると。
「その好奇心で永遠の苦しみから……」
後ろから歩夢先生の風の様な言葉が聞こえた気がした。
そう、この物語は好奇心から始まったのだ。

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