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2016年09月26日15:34

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ダリ展　　国立新美術館

10年ぶりの大回顧展だというけど、その展示会に行ってないのであたし的には初めてのダリ展。なんというか全てツボ。映像も絵画も挿絵も・・・。初めて見る作品も多く、あっというま間の3時間。

ダリが初めてダリらしい作品「ラファエロ風の首をした自画像」を描いたのは14～15才の時。王立サン・フェルナンド美術アカデミー時代には印象派やキュビズムっぽい絵も描いている。でも何を描いてもあちこちにダリが見え隠れする。

フロイトの影響を受けた悪夢。見えない人、腐敗のイメージ・・・。「子ども、女への壮大な記念碑」にはナポレオンやモナリザ、人間の頭が解け合った大きな塔。ダリにとって恐怖の対象はライオン。尊敬する画家フェルメールも絵の中に登場する「謎めいた要素のある風景」。赤色が恐ろしいほどに美しい「奇妙なものたち」。

広島と長崎への原爆投下はダリに大きな衝撃を与えた。「ウラニウムと原子による憂鬱な牧歌」。このことからかダリは戦後、原子や自然科学、数学に興味を持ち始める。ガラがモデルの「ポルト・リガトの聖母」には原子物理学の理論が反映されていると言うけど・・・。ガラの顔が美女っぽくないせいでかえって不思議。

ガラに死なれてからは自殺未遂を繰り返し経済的にも破綻してまさに抜け殻のようになってしまう。でもダリは生涯、生き方も外見も芸術性も唯一無二の存在だった。それがよくわかる展示会。

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