品性下劣な男に不快感

　夕方、テレ朝系のニュース「Jチャンネル」をつらつら見ていると、元TBS記者山口敬之の外国特派員協会での記者会見を取り上げられていた。会見は2時間近く及んだようだが、ニュースでは内容をかいつまんで紹介する。
　山口が伊藤詩織さんを強姦したか否かは、昨日、民事訴訟で判決がくだされ、慰謝料330万円の支払いを命じた、ということで強姦の事実認定がなされた。
　それを受けてのニュースだったのだが、卑劣な人間性だと思ったのは、伊藤さん出席の記者会見に於いて、ふたりだけの詳細を公の前で話すことに疑問がある、としつつ、堂々と「彼女はうそをつく性格である」などと、大規模な記者会見で述べたその卑しさに唖然とした。伊藤さんがウソつきかどうかは、あくまで山口の主観的な判断であり、それこそ公の場では決して言ってはいけない決まり事ではないか？　少し気になったので、ネットに上がっていた会見のライブ映像を見た。山口の弁護士（？）が「この事件で得したのは伊藤さんである」と述べた一幕もあった。
　ニュースでの冒頭では山口は「私はなんら法を犯しておりません」と断言していた。百歩譲ったとしても、モラルは二重三重で犯している。酩酊状態の女性を自分が借りているホテルに連れ込むのはセクハラであるし、彼女の人間性を全否定するような発言はセカンドレイプであるし、さらにはそもそも男と女の関係性に「得をしたのは彼女だ」などと市場原理主義や新自由資本主義の尺度を用いて、セックスに損得の指標で語ったことである。自分が薄汚れた男であるがゆえに、こういうあさましくて醜悪な男はなおさら見たくない。喩えがお下劣だが、30歳の男がエンコー目的の女子高生を買春するより10倍、醜い。法は犯しているわけだけど（苦笑）。
　そもそも記者会見場の山口を見ていると、恥ずかしさを知らない性格だと思う。含羞の一欠片もない。戦前の日本人をして「恥の文化」と論じた外国人評論家がいたが、戦後というか21世紀以降、人間として恥ずかしいという「矜恃」はなければないほど「得をする」時代になった。安倍や安倍一派を見よ。真正面の質問には論理をすり替えて堂々と答弁し、言いたいことを言い終わるとあとはそっぽを向いているか、その場から去るだけで、この人らって論理性と知性が欠けているが、それ以上に恥をスルーする術を身につけている。
　あと、山口の会見から感じたのは、事実を知る、事実を認めるという内省がなく、自分の立場を良くするために、事実を捏造できる穴を探し、事実を覆うことに腐心するに努める、ということだ。
　これは高校生の頃から感じていた。おとなの社会は、いかにうまくやるかにかかっていて、道徳もモラルもお金や立場や地位の前にあっては知ったこっちゃない、というのが世の中で成功する秘訣だと。親や教師から週に10回は叱られてようやく少しは成長できたか、という年齢になって、社会の道理はその対局側にあったのである。
　吉行淳之介だったか、第三の新人作家だったかのエッセイ集で、寝た女の悪口は絶対に言うな、という箴言があった。幸い私はまだ未経験者だったので、この「しばり」はいいかもと思った。山口的な男は皆さん、若い時分に三文作家の小説やエッセイを読まなかったのではないか？　

　病院着は規則でレンタルらしいが、その上に羽織るセーター2枚、バッグに入れていた。が、身体から管が出ているような状態で、身体にフィットしたセータを頭から被るのはつらいと思い直し、今日の朝から着ていた白い前開きの分厚いカーディガンを持って行くことにした。家用でところどころに毛玉が付いている。さらに白だからポツリポツリとシミもいくつかある。ダサいし貧乏くさいのだが、襟が首を包むほどに長くて温かい。急遽、ハイターでしみ抜きをしてからエマールという毛糸洗い洗剤で洗ってみた。先ほどチェックしてみたら、シミは8割くらい消えていた。毛玉は鋏でカットしてごまかそう。入院暮らしはファッションより快適さ重視だ。貧乏なファッションをしていたら医療費以外でまけてくれるかもしれない（笑）。
　こんなふうに、下着や衣料品や、お箸やスプーン、つめ切りとか筆記具とか本とかデジタルデバイスを用意していると、これはこれで他人事みたいに面白い。
　昨日は恩師に宛てた大長文の手紙を（丸3日がかりで）書いて出した。
　今日は2枚、はがきを書いて、郵便局まで出しに行った。
　ちまちまと動いているので、一日が早い。締め切りが近づいてようやく仕事に本気で取りかかる、というタイプ（の俺）はダメだな。